更新日:2026.01.30
障害年金の診断書を書いてくれない理由6選!断られたときの対処法を社労士が徹底解説
「医師に診断書を断られた。もう障害年金は諦めるしかないの?」
障害年金を申請する際、主治医に診断書作成を拒否されることはとても多いです。医師が作成をためらう理由は、医学的な判断だけでなく、制度への誤解や多忙さなど、さまざまな原因があります。
一度断られたからといって、諦める必要はありません。大切なのは、医師がなぜ拒んでいるのか理由を正しく知り、適切な歩み寄り方を考えることです。
本記事では、障害年金専門の社労士が、医師が診断書を書かない「6つの理由」と「医師のタイプ別の解決策」をわかりやすく解説します。
目次
医師が障害年金の診断書を「書いてくれない」6つの理由
医師が「障害年金の診断書は書けない」というとき、以下のような理由から拒否していることが多いです。
それぞれ具体的に見ていきましょう。
現在の症状が障害等級に該当しないと判断されている
医師が診断書作成を拒否する最大の理由は、医学的視点から「受給基準に届かない」と判断していることです。
特に診察室では気を張って「元気な姿」を見せてしまいがちな方は、医師との間に認識のズレが生じ、障害年金の診断書を書いてくれないという状況に陥りやすくなります。
| ズレが起きる原因 | よくある状況 |
|---|---|
| 診察室で無理をしてしまう | 医師の前だと無意識に気を張ってしまい、実際よりも「元気でしっかりした状態」に見えてしまう |
| 目に見えない症状が中心 | 体の重さや意欲の低下など、数値や画像には映りにくい「主観的な辛さ」が症状のメインである |
| 伝える時間が不足している | 診察時間が短いため、家で寝込んでいたり家族の援助が必要だったりする「日常の実態」を伝えきれない |
主治医に「今の状態では書けない」と言われたら、まずは自分の本当の困りごとが医師に正しく伝わっているかを振り返ってみましょう。
障害年金の診断書作成に向けた第一歩は、この認識のズレを丁寧に埋めていくことです。
初診日が別の病院で、現在の医師が経過を把握しきれていない
現在の主治医が障害年金の診断書を書いてくれない理由の一つに、過去の治療経過が不透明で「確証が持てない事実は書けない」という心理的抵抗があります。
特に、以下のようなケースでは、医師が作成をためらう傾向にあります。
| 経過が把握できない主なケース | 医師が不安を感じる理由 |
|---|---|
| 転院直後で情報が不足している | 前の病院での治療内容や投薬歴がわからず、これまでのストーリーがつながらない |
| 途中で病名が変わっている | 初診時と現在の病名が異なると、医学的な因果関係(つながり)に確証が持てない |
| 受診していない空白期間がある | 数年間の受診中断があると、その間の症状の変化をカルテから事実確認できない |
障害年金の診断書には、これまでの病歴や治療歴を書く欄があります。
以下は精神疾患の診断書の一部抜粋です。
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複数の病院を転々としている場合、医師は「自分が責任を持てるのは、自院に来てからのことだけだ」と考えがちです。以前の治療歴の情報がないときは「障害年金の診断書は書けない」と回答する医師は少なくありません。
医師が障害年金の制度や書類の書き方に詳しくない
医師が障害年金の診断書を書いてくれない理由には、年金制度特有の複雑なルールに戸惑い「責任を持って書けない」と悩んでいることが挙げられます。
障害年金の診断書は独特な記入ルールが多く、医学的な重症度とは別に、日常生活の制限を細かく点数化するなどの特殊な作業が求められます。
特に、医師が以下のポイントで頭を悩ませている場合、作成を断られてしまうことがあります。
| 医師が詳しくないポイント | 具体的な内容・理由 | 医師が感じる負担 |
|---|---|---|
| 独自の認定基準 | 年金機構が定める「1級〜3級」の基準が、医学的な基準とは異なる | 適切に評価できているか判断に迷う |
| 日常生活の判定 | 家庭内での食事や入浴などの実態を詳しく評価しなければならない | 診察室以外の生活が見えず、自信が持てない |
| 複雑な記入項目 | 項目が非常に細かく、不備があると年金事務所から差し戻される | 調べながら書く時間的な余裕がない |
医師が障害年金の診断書を書いてくれないのは、拒絶ではなく「制度への不慣れによる困惑」である可能性が高いです。
「まだ若いから」「就労しているから」という主観的な判断
医師の個人的な価値観や「仕事ができているなら大丈夫」といった主観的な判断によって、障害年金の診断書作成を断られるケースがあります。
本来、障害年金は年齢や就労の有無だけで決まるものではなく、一定の障害状態にあれば受給権利が発生するものです。しかし、主治医が「若いうちから年金に頼るべきではない」という独自の教育的配慮や、制度への誤解を持っている場合、なかなか首を縦に振ってくれません。
| 医師の考え・思い込み | 実際の状況と伝えるべきポイント |
|---|---|
| 「若いから回復の可能性がある」 | 今まさに生活が立ち行かない事実を伝え、「今この瞬間の支え」が必要であることを強調する |
| 「働けている=受給対象外」 | 仕事に行けている事実だけでなく、職場の配慮や帰宅後の疲弊など、無理を重ねている実態を正しく伝える |
| 「年金が自立を妨げる」 | 年金があるからこそ安心して治療に専念でき、将来的な自立につながるというポジティブな側面を説明する |
主治医が障害年金の診断書を書いてくれないのは、制度の正しい基準よりも、医師自身の人生観が優先されていることが原因かもしれません。まずは「今の生活のしづらさ」を客観的な事実として伝える工夫をしてみましょう。
多忙により、責任の重い書類作成を避けたい心理的ハードル
医師が障害年金の診断書を書いてくれない理由には、膨大な業務量と、患者の人生を左右する書類作成への「心理的な重圧」があります。
大きな病院の医師は、日々多くの患者を診察する合間を縫って、過去のカルテを遡る膨大な作業をこなし、診断書を作成しています。
こうした物理的な忙しさに加え、「不備で差し戻されるのは避けたい」「不支給になった際に患者との関係が悪化するのが怖い」といった不安が、作成を躊躇させる要因となります。
| 医師が抱える事情 | 具体的なプレッシャー |
|---|---|
| 時間の不足 | 膨大なカルテ確認が必要で、休息時間を削って執筆している |
| 不備への重圧 | 「正しく書かねば」というプレッシャーが作成を躊躇させる |
| 関係悪化への不安 | 不支給だった場合に「先生のせいで落ちた」と責められるのを恐れる |
「うちはやっていない」「今は忙しいから無理だ」という拒絶の言葉の裏には、医師の疲弊や不安が隠れている場合があります。
「法的に正当な理由」があるケース
医師が障害年金の診断書を書いてくれない場合、「法的なルールや客観的な事実」という動かせない事情が隠れていることがあります。
医師には診断書を作成する義務(応招義務)がありますが、正当な理由がある場合には拒否することが認められています。
具体的には、以下のような状況では診断書の作成が困難になります。
| 医師が書けない正当な理由 | 具体的な状況 |
|---|---|
| 通院実績の不足 | 数回しか受診していない、または長期の中断がある場合、日常生活の評価が医学的にできない |
| 正当な依頼権限の欠如 | 本人の同意や正式な委任状がない家族・第三者からの依頼は、個人情報保護のため受理できない |
| 証拠資料の喪失 | 当時の担当医が不在で、カルテも保存期間(5年)を過ぎて破棄されていると、記載する根拠がなく診断書を作成できない |
物理的に記載する根拠がない状況では、どれだけ頼み込んでも障害年金の診断書を準備してもらうことはできません。
障害年金の診断書については、【図解】障害年金診断書チェック完全ガイド|提出前に確認すべきポイント(精神疾患編)でも詳しく解説しています。
【医師のタイプ別】診断書を断わられたときの対応方法
「先生に断られたら、もう終わり」と絶望する必要はありません。主治医のタイプに合わせた、最適なアプローチ法を確認していきましょう。
- 「経過が短くて書けない」という慎重な医師の場合
- 「受給対象じゃないと決めつける」門前払いをする医師の場合
- 「年金が回復の妨げになると考える」治療を重視する医師の場合
- 「診断書の書き方がわからない」と戸惑う医師の場合
- 診察業務が多忙で、書類作成の負担が大きすぎる医師の場合
それぞれ具体的に解説します。
「経過が短くて書けない」という慎重な医師の場合
主治医が「通い始めたばかりで判断できない」と慎重な場合、医師が納得できる客観的な判断材料を揃えることが解決の近道です。
慎重な主治医に対しては、以下の方法でアプローチを試みてください。
| 具体的な対処法 | 期待できる効果・メリット |
|---|---|
| 通院を継続し信頼を築く | 医師の指示を守り通院を重ねることで、症状が継続している実態を直接確認してもらう |
| 日常生活のメモを渡す | 診察室だけでは見えない、家での食事や入浴の支障を伝えることで、診断書の強力な「根拠」になる |
| 前医の情報を共有する | お薬手帳や紹介状で過去の経過を証明し、主治医が抱く「これまでの経過が不明」という不安を払拭する |
医師の慎重さは、裏を返せば「事実に基づいた正確な書類を作りたい」というプロ意識の表れです。まずは情報共有を徹底し、主治医の判断をサポートする姿勢を見せましょう。
「受給対象じゃないと決めつける」門前払いをする医師の場合
主治医が「年金は無理」と決めつけて障害年金の診断書を書いてくれないときは、医師に「今の困っている事実」を日本年金機構に伝える役割をお願いしましょう。
医師が「無理だ」と考えていても、国の基準に照らすと対象になるケースはよくあります。大切なのは、医師に「受給できるか」を相談するのではなく、「今のありのままの生活状況を診断書に書いてほしい」と、役割を整理して伝えることです。
門前払いをする主治医には、以下のステップで歩み寄ってみてください。
| 具体的な対処法 | 医師への伝え方・ポイント |
|---|---|
| 「合否の判断は国に任せたい」と話す | 「もらえるかどうかは国の審査に任せるので、先生には今の診察内容をそのまま書いていただきたい」と謙虚に依頼する |
| 生活の「無理」を書き出して渡す | 「働けている」という表面的な事実だけでなく、職場の配慮や帰宅後に倒れ込む実態など、医師が見ていない苦労を書面で渡す |
医師に真っ向から反論すると関係が悪化する恐れがあります。「先生に審査の責任を負わせるのではなく、事実を伝えるお手伝いをしてほしい」というスタンスで相談すると医師の理解を得やすくなります。
「年金が回復の妨げになると考える」治療を重視する医師の場合
治療への影響を心配して障害年金の診断書を書いてくれない医師には、「経済的に安定することが治療の土台になる」という考えを伝えることが効果的です。
治療を大切にする主治医には、以下のポイントを意識して相談してみてください。
| 具体的な対処法 | 医師への伝え方・ポイント |
|---|---|
| 「経済的な安心が治療に役立つ」と話す | ・「お金の不安で夜も眠れず、治療に集中できない」と伝え、年金が回復のための「土台」になることを強調する |
| 医師の懸念に理解を示す | ・「先生が自立を心配してくださる気持ちはわかります」と一度受け止めた上で、今の切実な生活状況を打ち明ける |
| 更新制度があることを共有する | ・障害年金には「更新」あり、症状が良くなったら年金が止まることを共有する ・年金は一生固定ではなく、あくまで今の支援が必要だと伝える |
「診断書の書き方がわからない」と戸惑う医師の場合
主治医が「障害年金の診断書作成ルールに不慣れで自信がない」と困惑している場合は、医師が迷わずスムーズに記入できるような「お助け資料」を準備して渡すのが効果的です。
医師の迷いや事務作業の重荷を軽くするために、以下の対策を試してみましょう。
| 具体的な対処法 | 医師への効果・メリット |
|---|---|
| 公式の「記入の手引き」を持参する | 日本年金機構が公開している記載要領を渡すことで、医師が最新のルールを調べる手間を省き、安心して執筆に集中できる ※ 日本年金機構では、診断書の記載要領を障害年金の請求手続き等に使用する診断書・関連書類で公開しています。 |
| 日常生活の参考資料を渡す | 医師が最も頭を悩ませる「診察室以外の生活実態」を可視化することで、作成のスピードと精度が格段に上がる |
| 「期限には余裕がある」と伝える | 精神的なプレッシャーを減らし、診察の合間に「落ち着いて書いてほしい」という誠実な気持ちを伝える |
主治医が抱える専門外の書類へのハードルを一緒に取り除いていくことで、障害年金の診断書を書いてくれないという悩みは解決に向かいます。
診察業務が多忙で、書類作成の負担が大きすぎる医師の場合
主治医が「忙しすぎて手が回らない」と診断書作成を渋っているときは、医師の事務的な負担を極限まで減らす工夫を提案してみましょう。
多忙を極める主治医に対しては、以下の方法で「医師が書くこと」に集中できる環境を整えましょう。
| 具体的な対処法 | 効果やポイント |
|---|---|
| 医療相談室(MSW)を通す | 医師個人に直接お願いするのではなく、病院内の「相談室」や「事務窓口」を介して、組織としてサポートを依頼する |
| 完璧な参考資料を準備する | これまでの経過や生活状況を整理したメモを渡し、医師の「思考と調査」の時間を最小限に抑える |
| 社労士の依頼状を添える | 専門家がポイントをまとめた資料を添えることで、医師が「どこを重点的に書けばよいか」迷わずスムーズに作成できる |
事務的な部分は自分や社労士で補うというスタンスが、良好な関係を保ったまま書類を仕上げていただく鍵となります。
最終手段としての「転院」と注意点
あらゆる対策を尽くしても主治医の理解が得られない場合は、転院を検討することも一つの解決策ですが、慎重な準備が不可欠です。
勢いだけで転院してしまうと、新しい医師からも「経過がわからない」と拒否されるリスクがあります。転院を「受給への近道」にするためには、以下の3つのポイントを必ず押さえておきましょう。
| 転院を成功させるポイント | 具体的なアクション |
|---|---|
| 紹介状を必ず持参する | ・前の病院での治療経過を証明する「診療情報提供書」を入手する ・これがないと新しい医師も判断が下せない |
| 転院先を事前にリサーチする | ・「障害年金の相談に対して理解があるか」を事前に確認する ・社労士に障害年金に理解のある医療機関を尋ねるのも有効 |
| まずは信頼関係を築く | ・初診でいきなり診断書を依頼しない ・数回通院して今の症状や困りごとを正しく理解してもらってから依頼する |
転院前に一度社労士にご相談を
病院を変えるという大きな決断をする前に、まずは実務の専門家である社労士へ現状を相談することをおすすめします。
自分一人では「診断書を書いてくれないから転院しかない」と思い詰めていても、社労士から医師への「角が立たない伝え方」を教わるだけで、状況が好転することは珍しくありません。
また、不用意な転院は初診日の証明を困難にするリスクもあります。失敗を未然に防ぎ、受給の可能性を最大化するためにも、まずはプロの知恵を借りましょう。
自分で医師と交渉するのが不安なときは
心身が辛い状況の中で、医師と対等に交渉するのは並大抵のことではありません。
もし自分一人で進めることに限界を感じたら、迷わず専門家である社会保険労務士(社労士)を頼ってください。社労士は、あなたに寄り添い、医師との橋渡しや最善な書類作成で、スムーズな申請をサポートします。
社労士に依頼するメリットについては、障害年金の申請を依頼するメリットは4つ!【社労士の選び方もわかりやすく解説】で解説しています。
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