更新日:2026.02.23
障害者雇用でも障害年金はもらえる!審査の条件と重要ポイントを社労士が解説
障害者雇用で働きながら障害年金を受け取ることは可能であり、実際に多くの方が仕事と受給を両立されています。
「働いているから自分は対象外ではないか」と悩まれる方も多いですが、障害者雇用での就労は、むしろ「職場での配慮や手助けが必要な状態」であることを証明する材料になります。
大切なのは、周りの支えがあるからこそ働けているという現状を、正しく審査側に伝えることです。
この記事では、障害者雇用という環境が審査にどう影響するのか、受給に必要な条件と実態を正しく伝えるためのポイントを、社労士がわかりやすく解説します。
- なぜ「障害者雇用」が、審査において考慮されるのか
- フルタイム勤務でも「2級」に認定される可能性がある理由
- 実態を正確に伝えるための「診断書」と「申立書」作成のポイント
- 所得制限の有無と、更新時に正しく理解しておくべき注意点
「無理をして働いているけれど、将来が不安」「経済的な支えが欲しい」という方は、ぜひ最後まで読み進めてください。
目次
「障害者雇用」でも障害年金は受け取れる理由
障害者雇用で働いていても、障害年金を受け取ることができます。
なぜなら、障害者雇用という枠組み自体が「仕事をする上で配慮や援助が必要な状態」であることを客観的に証明する材料になるからです。
「障害者雇用」は、職場での特別な配慮の証明
障害者雇用枠で働く場合、会社から受ける個別のサポートは「支援がなければ就労が困難である」という実態を証明する材料となります。
具体的には、業務内容を単純作業へ限定する軽減措置や、通院のための柔軟な休暇、こまめな休憩の確保などが挙げられます。
これら「合理的配慮」を受けている事実は、障害により労働能力が制限されていることの裏付けとなり、受給の可能性を高める大きな鍵となります。
ガイドラインに明記された「2級」の可能性
障害者雇用で就労している事実は、国が定めるガイドラインによって「障害年金2級以上」に該当する可能性が高いと明確に示されています。
・ 就労系障害福祉サービス(就労継続 支援A型、就労継続支援B型)及び障害者雇用制度による就労については、 1級または2級の可能性を検討する。 就労移行支援についても同様とする。
引用:精神の障害に係る等級判定ガイドライン(p8)|厚生労働省
厚生労働省が公表している「精神の障害に係る等級判定ガイドライン」では、障害者雇用制度を利用した就労について、1級または2級の可能性を慎重に検討するよう明記されています。これは、一般就労が難しいからこそ福祉的な枠組みで働いていると国が認めているためです。
したがって、障害者雇用で働いている方が障害年金を申請する場合、就労していることだけで不支給になるわけではありません。
障害等級ガイドラインの詳細は、【精神疾患で障害年金を申請する方へ】等級判定ガイドラインをわかりやすく解説 をご覧ください。
ゆうき事務所代表社労士が、動画でも解説しています。
フルタイム勤務でも「2級」に認定される理由
フルタイムで週40時間働いていても、周囲のサポートや配慮が不可欠な実態があれば、障害年金2級に認定される可能性は十分にあります。
障害年金の審査では、勤務時間の長さよりも「自力で安定して働けているか」という点が重視されます。たとえ障害者雇用でフルタイム勤務をしていても、以下のような特別な支援を受けている場合は、労働能力が制限されていると判断されます。
| 項目 | 具体的な実態(配慮の例) |
|---|---|
| 就労の援助 | ジョブコーチや指導員の常時サポート、細かな指示出しが不可欠な状態 |
| 業務の内容 | 責任の重い仕事や対人折衝を免除され、単純な定型作業に限定されている状態 |
| 私生活への影響 | 仕事で体力を使い果たし、帰宅後や休日は食事や入浴もできずに寝込んでしまう状態 |
このように、障害者雇用という守られた環境だからこそ継続できている働き方は、本来の「自立した労働能力」とは異なります。
仕事は何とかこなせても、私生活に著しい支障が出ているのであれば、2級相当の制限がある状態の根拠となり得ます。
今の自分の働き方が、表にあるような「特別な配慮」に支えられていないか、まずは現状を整理してみましょう。
障害の種類による「就労」への影響
障害の種類によって「働いていること」が審査に与える影響は異なり、精神疾患や発達障害では就労状況の詳細な説明が必要です。
障害年金の審査基準は、障害の種類ごとに特徴があります。
身体障害のように数値で重症度が示せるものに比べ、精神・発達障害は「働けている=症状が軽い」と誤解されやすいため、障害者雇用枠での配慮内容を丁寧に伝える必要があります。
以下に、障害の種類別の審査への影響をまとめました。
| 障害種別 | 審査への影響 | 判断基準の傾向 |
|---|---|---|
| 身体障害・外部障害 | 少ない | 視力や聴覚、肢体の欠損など、数値や欠損状態で客観的に判断されるため |
| 精神・発達・内部障害 | 大きい | 数値化が難しく、働いている事実だけで軽症と誤解されやすいため、詳細な説明が必須 |
精神障害などの場合は、障害の度合いを検査等で数値として明確に測れないからこそ「どのような制限があるのか」が、障害年金の等級を決定する重要な鍵となります。
障害者雇用という環境で、具体的にどのような支援を受けているかを明確に示し、正しい審査につなげましょう。
就労しながらの障害年金受給については、障害年金は働きながらもらえる?受給のポイントを解説【精神疾患の実例つき】で詳しくお伝えしています。
働きながら障害年金を受給するための3つの必須条件
障害年金を働きながら受給するためには、「初診日・保険料・障害の状態」という3つの条件をすべてクリアする必要があります。
障害者雇用で就労中の方も、まずはご自身が以下の条件を満たしているか確認してみましょう。3つの条件は、仕事をしているかどうかに関わらず、障害年金をもらうために絶対に必要なものです。
| 条件 | 必要な内容 |
|---|---|
| 1. 初診日要件 | 原因となった病気やけがで、初めて医師の診察を受けた日に年金(国民年金や厚生年金)に加入していること |
| 2. 保険料納付要件 | 初診日の前日において、一定期間以上の保険料を納めている(または免除されている)こと |
| 3. 障害状態要件 | 障害認定日において、法令で定められた障害等級(1〜3級)の基準に該当していること |
障害年金の審査では、特に「障害状態要件」が重要視されます。
基本となる「初診日要件」と「保険料納付要件」を満たした上で、障害者雇用枠で受けているサポート内容などを正しく証明していくことが、受給への確実な一歩となります。
障害年金の受給の詳細は、障害年金の3つの受給条件とは?年齢は関係ある?わかりやすく解説!をご覧ください。
参考:障害基礎年金の受給要件・請求時期・年金額|日本年金機構
参考:障害厚生年金の受給要件・請求時期・年金額|日本年金機構
就労の実態を正確に伝えるために|書類作成のポイント
障害者雇用で「働いている事実」がマイナス評価にならないよう、書類作成では「援助が不可欠な実態」を強調することが大切です。
障害年金の審査では、勤務していること自体よりも、職場での制限や日常生活への影響が重視されます。無理をして働いている状況を正しく伝えるため、以下の具体的なチェックポイントを順番に確認していきましょう。
診断書の「就労状況」をチェック
医師に作成してもらう診断書の「現症時の就労状況」欄で、必ず「障害者雇用」にチェックが入っているか確認してください。
以下は、精神疾患の診断書裏面を一部抜粋したものです。

上図の「障害者雇用」に〇やチェックがされているかを確認しましょう。
診断書のチェックの詳細については、【図解】障害年金診断書チェック完全ガイド|提出前に確認すべきポイント(精神疾患編)をご覧ください。
診断書に配慮の内容を記載してもらう
医師に診断書を依頼する際は、会社から「特別に許可してもらっていること」を医師に具体的に伝えましょう。
障害者雇用で働いていたとしても、医師は診察室でのあなたの様子しかわかりません。そのため、仕事中にどのような手助けを受けているかを具体的に医師と情報共有することが大切です。
以下のような情報を伝えることで、医師は障害年金の審査に必要な「働けていても、実は不自由がある」という事実を診断書に書きやすくなります。
| 何を伝えるか(項目) | 具体的な状況の例 |
|---|---|
| 仕事の内容 | ・人と話す仕事(接客)を外してもらっている ・簡単な作業だけをしている。 |
| 休みや休憩 | ・体調が悪いときにすぐ休める ・決まった時間以外にも休憩をもらっている。 |
| 仕事の進め方 | ・自分で判断しなくていい指示をもらっている ・何度も同じ失敗をしてしまう。 |
| 会社の手助け | ・常に誰かがそばにいて見守ってくれている ・病院に行く日は早退できる。 |
障害年金の申請では、こうした「会社側の特別な配慮」があるからこそ、何とか会社に行けているという実態を伝えることが重要です。
障害年金の診断書については、障害年金の診断書を書いてくれない理由6選!断られたときの対処法を社労士が徹底解説でも詳しくご紹介しています。
病歴・就労状況等申立書で「援助の内容」を具体化する
病歴・就労状況等申立書には、職場で受けている具体的なサポート内容を詳細に記載し、自力では就労が困難な実態を伝えましょう。
障害年金の申請において、本人が作成する病歴・就労状況等申立書は、診断書だけでは伝わりにくい「現場の苦労」を補う重要な書類です。
障害者雇用枠で働いている場合、どのような配慮があるから仕事を継続できているのかを具体的に書くことで、労働能力の制限を審査官に正しく伝えられます。
| 記入すべき援助の内容 | 具体的な記載例 |
|---|---|
| 業務の工夫 | 複雑な仕事は避け、単純作業のみに限定してもらっている |
| 指示の方法 | すぐに指示を忘れてしまうので、口頭ではなく、すべて書面(メモ)でもらっている |
| 時間の調整 | 体力の消耗を防ぐため、フルタイムではなく短時間勤務をしている |
| 専門家の支援 | ジョブコーチから、常に助言や精神的なサポートを受けている |
このように、障害者雇用という特別な環境がなければ仕事が成立しないことを強調しましょう。障害年金の審査官に「配慮なしでは働けない状態」を理解してもらうことが、受給への近道です。
病歴・就労状況等申立書を書くのが難しいときは、社労士が代わりに作成できるので、ご安心ください。
ゆうき事務所代表社労士が、動画でも解説しています。
「日常生活の限界」を伝える
障害年金の審査では、「私生活が崩壊していないか」という日常生活の限界を伝えることがとても重要です。
障害者雇用で働いている方は、職場では周囲に合わせて無理をしてしまい、その反動が家庭生活に出るケースが少なくありません。
障害年金を受給するためには、職場での様子だけでなく、帰宅後や休日の「ありのままの姿」を申立書などの書類に反映させる必要があります。
日常生活で下記のようなことがあれば、忘れずに病歴・就労状況等申立書に記載しましょう。
- 帰宅後の様子
疲れ果てて食事や入浴ができず、そのまま朝まで寝込んでしまう。 - 休日の過ごし方
外出や家事が一切できず、一日中横になって過ごしている。 - 身の回りのこと
家族のサポートがなければ、掃除や洗濯、通院などの管理ができない。
審査官は「仕事ができているなら日常生活も問題ない」と判断しがちです。しかし、実際には仕事に全エネルギーを使い果たし、それ以外の生活が成り立っていないのであれば、それは重い障害状態にあるといえます。
知っておきたい所得制限と更新の注意点
障害年金と仕事の両立を考える際、所得による停止や更新時の審査落ちは気になるポイントですが、正しいルールを知れば過度に恐れる必要はありません。
障害者雇用で働いて一定の給与を得ていても、基本的には年金がカットされることはありません。しかし、申請の種類によっては例外があったり、数年ごとの更新手続きで「働けているから治った」と判断されたりしないよう、注意すべき点が存在します。
これから、安心して働き続けるために知っておくべき「お金と更新のルール」について詳しく解説します。
基本的に所得制限はない
障害年金(障害基礎年金・障害厚生年金)には原則として所得制限がなく、障害者雇用でどれだけ収入を得ても受給額が減ることはありません。
「給料をもらっていると年金が止まる」という噂を耳にすることがありますが、これは誤解です。
障害年金は、「障害の状態」によって支給が決まるため、例えば年収400万円以上の所得があっても、認定基準を満たしていれば全額受給できます。
障害年金と所得の関係を表にまとめました。
| 年金の種類 | 所得制限の有無 |
|---|---|
| 障害厚生年金 | なし(年収に関わらず受給可能) |
| 障害基礎年金 | なし(原則として制限なし) |
| 20歳前傷病による年金 | あり(唯一、所得による制限が存在) |
このように、20歳前に初診日がある場合を除き、障害者雇用でしっかり働きながら、年金を受け取ることができます。働くこと自体が法律上の制限に触れるわけではないため、安心して現在の仕事を継続してください。
「20歳前傷病」は例外あり
20歳前に初診日がある障害基礎年金は、本人の所得が一定額(概算で370万円程度)を超えると、支給額が調整される所得制限のルールがあります。
通常の障害年金とは異なり、20歳前傷病による年金は、保険料を納めていない期間の障害を保障する福祉的な性格が強いため、例外的に所得による制限が設けられています。
障害者雇用で働いて年収が上がってきた際は、以下の目安を確認しておきましょう。
| 停止の区分 | 所得の基準(単身者の概算目安) |
|---|---|
| 2分の1支給停止 | 所得が 約370万円 を超える場合 |
| 全額支給停止 | 所得が 約472万円 を超える場合 |
上記の金額はあくまで概算であり、扶養家族の有無や社会保険料の控除額、また年度ごとの改定によって変動します。正確な金額は、日本年金機構が公開している20歳前の傷病による障害基礎年金にかかる支給制限等 で確認してください。
この制限は「20歳より前に初めて受診した方」のみが対象です。
20歳以降に初診日がある場合は、障害者雇用でこれ以上の収入を得ても、所得を理由に障害年金が止まる心配はありません。
障害年金と収入の関係は、年収が高いと障害年金をもらえない?家族の収入との関係もわかりやすく解説! をご覧ください。
障害年金の更新時の注意点
障害年金の更新時には、昇給や業務上の配慮が減った実態が「症状の改善」とみなされ、支給停止や等級変更につながることがあります。
障害年金には1~5年ごとに更新手続きがあり、その都度、現在の障害状態が審査されます。障害者雇用で働き続けている場合、仕事に慣れて「特別な支援がなくても働けるようになった」と判断されると、受給額に影響が出るケースがあるため、現在の状況を正しく伝えることが大切です。
特に、以下の変化があった場合は更新時の書類作成において慎重な対応が求められます。
- 給与額の大幅な増加
一般の労働者と変わらない労働能力があると判断されやすいです。 - 配慮事項の減少
ジョブコーチの支援終了や一般社員と同様の業務への変更は、審査において慎重な説明が必要なポイントです。 - 通院頻度の低下
治療の必要性が薄れたと推測される要因となるため、現在の通院状況を正確に記載する必要があります。
更新の際も、現在の安定した就労が「障害者雇用という環境」に支えられている事実を明確に伝えなければなりません。
今もなお残っている生活や仕事上の制限を正しく申告することが、受給を継続するための重要な備えとなります。
障害年金の更新の詳細は、障害年金の更新は難しい?手続きの流れや注意するポイントをご紹介 をご覧ください。
障害年金に関するよくある質問(Q&A)
Q1. 障害年金をもらっていることは会社にバレますか?
A. 基本的にバレることはありません。
障害年金は非課税のため、住民税の計算に影響しません。自分から話さない限り、会社が受給の事実を知る仕組みはないため、安心して受給できます。
Q2. 会社に障害年金受給を伝えた方がいいですか?
A. 伝える義務はありません。
ただし、より適切な合理的配慮(業務の軽減や通院の配慮など)を求めるために、信頼できる担当者にのみ伝えるという選択肢もあります。
Q3. 年金を受け取ると、将来の老齢年金が減りますか?
A. 障害年金の受給自体で減ることはありませんが、保険料の免除には注意が必要です。
障害年金(1級・2級)を受けると、国民年金保険料が「法定免除」されます。免除期間は将来の老齢基礎年金額に反映されますが、全額納付した場合に比べると受取額は少なくなります。将来の老齢年金を減らしたくない場合は、免除を受けずに保険料を納め続けることも可能です。
Q4. 途中で一般雇用に切り替えたら障害年金は止まりますか?
A. すぐに止まるわけではありません。
ただし、更新時に「特別な配慮がなくても自立して働けている」と判断された場合、等級が下がったり支給が停止したりする可能性はあります。
障害年金への疑問にゆうき社労士が回答しています。ぜひご覧ください。
障害者雇用で働いているという事実は、年金の審査において「就労の制限」を証明する大きな武器になります。
- 「働いているから」と受給を諦めない
- 職場で受けている「配慮」を具体的に書類に書く
- 不安な場合は、社会保険労務士などの専門家へ相談する
この3点を意識して、受給に向けた準備を進めていきましょう。
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