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お役立ちコラム

COLUMN

精神疾患でも働きながら障害年金はもらえる?受給のポイントをご紹介

障害のある方が働いている場合、こんな声を聞くことがあります。

「いま仕事をしているけれど、障害年金はもらえるのかな」
「働くと障害年金は減額されるの?」

障害年金は、受給要件を満たせば働いていても受けられます。

働きながら障害年金を受けることができれば、経済的な不安を減らせますね。

そこで、この記事では働きながら障害年金を受給できるケースや受給のポイントを解説します。

ゆうき社会保険労務士事務所での受給事例も紹介するので、仕事を続けながら障害年金を受けたい人は最後まで読んで、ぜひ参考にしてください。

働いていても障害年金は受給できる

結論として、働いていても障害年金は受給できます。

働きながら障害年金を受給できるケースは、決して少なくありません。

厚生労働省の統計から、障害年金受給者の就労状況をみていきましょう。

障害年金を受ける人の約半数は働いている

厚生労働省の統計によると、障害年金を受ける人全体の約半数が就労しています。

障害年金を受けている人(20歳~59歳)の就労状況(令和元年)

障害の種類就労率(%)
身体障害48.0
知的障害58.6
精神障害34.8
参考:障害年金制度|厚生労働省年金局

審査が厳しいといわれる精神疾患のある人でも、3人に1人は障害年金を受けながら就労していることがわかります。

なぜ働きながら障害年金がもらえるの?

障害年金は、障害により仕事や生活に制限を受ける状態になったときに請求できる年金保険です。

そのため「障害年金は障害があって働けない人が受けるものだから、仕事に行ける自分はもらえない」と思う人が多いのです。

しかし、国は障害年金を受ける条件として「働けないこと」を求めていません。

障害年金の受給要件について、次章で詳しくみていきましょう。

障害年金の受給要件

障害年金の受給要件を下表にまとめました。

障害年金の種類受給要件
障害基礎年金1)初診日※1に国民年金に加入している
2)20歳前または日本に住んでいる60歳~64歳の人で年金制度に加入していない
3)初診日の前日において保険料の納付要件を満たしている
(20歳前に初診日がある場合は、保険料納付要件は問われない)
4)障害認定日※2に障害の状態が障害等級表に定める1級または2級に該当している
障害厚生年金1)初診日に厚生年金に加入している
2)初診日の前日において保険料の納付要件を満たしている
3)障害認定日に障害の状態が障害等級表に定める1級から3級に該当している
※1 初診日とは、障害の原因となった傷病で初めて医療機関を受診した日
※2 障害認定日とは、初診日から1年6か月を経過した日

参考:障害年金制度|厚生労働省年金局

このように、障害年金の受給要件に「仕事をしていない」「就労していない」ことは明記されていません。

そのため、働いていても障害年金を受け取ることができます。

ただし、日本年金機構では「国民年金・厚生年金保険 障害認定基準」により、障害ごとに各等級の認定基準を定めており、就労の有無も障害等級認定審査の判断材料の一つとしています。

障害年金の受給要件は、障害年金の3つの受給条件とは?年齢は関係ある?わかりやすく解説!で詳しく解説しています。

障害年金の詳細は、障害年金とは?何歳から請求できる?社労士がわかりやすく解説をご覧ください。

働いても影響がない傷病

仕事をしていても障害年金の認定や障害等級の審査に影響がない傷病は、下記のようなものが挙げられます。

それぞれ詳しくみていきましょう。

障害等級が原則として決まっている傷病

以下の傷病は、原則として障害等級が決まっているため、仕事をしても障害年金の審査に影響がありません。

傷病名障害等級
人工透析2級
人工関節3級
心臓移植
人工心臓
1級
人工弁
心臓ペースメーカー
人工肛門
3級
MEMO 心臓移植や人工心臓等について
術後1~2年程度経過観察したうえで症状が安定しているときは、 臨床症状や検査成績をみて、障害等級を再認定し等級が変わることがあります。

参考:障害認定基準|日本年金機構

検査等で障害の程度が測れる傷病

視力や聴覚、手足の障害など、検査等の数値で障害の程度が測れる傷病は、客観的に障害の程度を判断できます。

そのため、働いてることが障害年金の審査に影響することはありません。

主な傷病は以下のとおりです。

傷病症例障害等級
視覚障害両眼の視力がそれぞれ0.03以下1級
聴覚障害両耳の聴力レベルが100デシベル以上1級
上肢の障害両上肢の全ての指を欠くもの1級
下肢の障害両下肢を足関節以上で欠くもの1級
参考:障害認定基準|日本年金機構

上記に示した以外にも多数の症例があります。

詳しくは障害認定基準|日本年金機構でご確認ください。

働くことで影響が出る傷病

働くことで障害年金の審査等に影響がでる傷病としては、以下のようなものが挙げられます。

  • うつ病や双極性障害、てんかんなどの精神疾患
  • がんなどの内部障害

精神疾患や内部障害は傷病名で障害等級が決められておらず、検査等で障害の程度が数値で表せません。

そのため、日本年金機構では障害年金の審査の際に、障害の具体的な状況、状態をもとに判定を行います。

審査の際に就労していた場合「働けるのならば、障害の状態が良い」と判断されやすいです。

しかし、働いていたとしても、実際は会社から下記のような配慮を受けているケースも多くあるでしょう。

  • 短時間勤務している
  • 簡単な作業のみ担当している
  • 通院があるので、週に3日だけの勤務 など

上記のように会社から特別な配慮を受けて働いていたり、家族や友人などの援助を受けて生活している場合、診断書や病歴・就労状況等申立書でしっかりと現状を記載できれば、働きながら障害年金を受けられる可能性があります。

働きながら障害年金を受給するために注意するポイント

働きながら障害年金を受けるには、日本年金機構に仕事や日常生活の状況を詳細にしっかりと伝えることがとても大切です。

障害認定基準では、発達障害・知的障害・症状性を含む器質性精神障害・統合失調症の判断基準を以下のように明記しています。

就労支援施設や小規模作業所などに参加する者に限らず、雇用契約により一般就労をしている者であっても、援助や配慮のもとで労働に従事している。

したがって、労働に従事していることをもって、直ちに日常生活能力が向上したものと捉えず、現に労働に従事している者については、その療養状況を考慮するとともに、仕事の種類、内容、就労状況、仕事場で受けている援助の内容、他の従業員との意思疎通の状況等を十分確認したうえで日常生活能力を判断すること。

引用:障害認定基準|日本年金機構

簡単にいうと、仕事をしているだけで状態が良くなったと判断せず、仕事の種類、内容、就労状況、仕事場で受けている援助の内容なども十分に考慮して判断するということです。

上記を踏まえて、うつ病やがんなど数値で測れない傷病の場合、働きながら障害年金を受けるには、下記のポイントを踏まえて申請することをおすすめします。

順番に紹介していきます。

主治医と日頃からコミュニケーションを取る

障害年金の審査の際に、主治医の作成する「診断書」は大変重要視されています。

診断書には、主治医が医学的な視点で障害状態を記載しますが、診断書の内容で障害年金の受給や障害等級が決まると言っても過言ではありません。

精神疾患や内臓障害がある人が、働きながら障害年金を受給するためには、会社から特別な配慮を受けていたり、生活に支障が出ていたりといった状況を診断書にも反映してもらうことが必要です。

そのためには、診察時に主治医とコミュニケーションをとり、日頃から自分の仕事や生活の状況を知ってもらいましょう。

診察時にうまく主治医に話せない場合は、伝えたいことをメモしておき主治医に渡したり、家族に診察に立ち会ってもらい伝えてもらったりするなどの方法があります。

主治医とのコミュニケーションを日頃から大切にしておくことがとても重要です。

病歴・就労状況等申立書で生活状況を知らせる

主治医の作成した診断書は、医学的な視点から病状や治療内容を主に伝えるものです。

診断書だけでは、障害年金を申請する人の普段の生活の様子や仕事の詳細な内容が読み取れないこともあります。

そこで「病歴・就労状況等申立書」で、障害年金を申請する人が日常生活での困っていることや仕事上で特別に会社から配慮されていることなどを具体的に記して、診断書の内容を補います。

「病歴・就労状況等申立書」に、家族や友人などのサポートや、会社の配慮があるおかげで仕事を続けられるという客観的な事実を詳細に記載できれば、受給の可能性が高まるでしょう。

しかし、病歴・就労状況等申立書は、書類を書き慣れていない人にとっては作成が難しいと感じることが多いです。

そんなときは、障害年金専門の社労士が病歴・就労状況等申立書の作成を代行できます。
障害年金の書類作成でお困りのときには、社労士への代行依頼を検討しましょう。

出典:病歴・就労状況等申立書|日本年金機構

病歴・就労状況等申立書をもっと詳しく知りたい人は、病歴・就労状況等申立書は障害年金の重要書類!書き方や記入例もご紹介をご覧ください。

障害年金の更新時に働いている場合

無事に申請が通り、障害年金の受給が始まっても多くのケースが1~5年で更新をしなければなりません。

障害年金を申請したときに働いておらず、更新の際に働いている場合、障害等級が落ちて年金が減額になったり、支給停止になることがあります。

しかし、更新時に就労できるからといって、必ず年金が減額になったり、支給停止になったりするわけではありません。

障害年金の更新時に就労している場合、会社から特別な配慮を受けていたり、周囲のサポートを受けて生活できている状況を診断書で日本年金機構に的確に伝えることが必要です。

現在の障害状態だけでなく、日常生活で不便に感じていること、困っていることなども診断書に記載してもらえるように、主治医とコミュニケーションをとり、情報共有しておきましょう。

働きながら障害年金を受給する|よくある質問

働きながら障害年金を受給する際に、寄せられる質問に回答していきます。

働きながら障害年金を受けるときに所得制限はありますか?

障害厚生年金を受ける人は、働いていても所得制限はありません。

ただし、20歳前に初診日のある障害基礎年金は、年収が一定額を超えると支給停止になります。

20歳前に初診日のある障害基礎年金で支給停止となる所得の基準は下記のとおりです。

前年の所得停止額
4,721,000円を超える年金は全額停止
3,704,000円を超える2分の1の年金額が支給停止
所得とは、収入から各種の控除額を差し引いた額のこと

扶養親族がいる場合:扶養親族1人につき所得制限額が38万円加算

毎年、受給者本人の前年所得の確認が必要となり、前年所得に基づく支給対象期間は「10月分から翌年9月分まで」です。

障害年金と年収については、年収が高いと障害年金をもらえない?家族の収入との関係もわかりやすく解説!で詳しくご紹介しています。

参考:20歳前の傷病による障害基礎年金にかかる支給制限等|日本年金機構

障害年金を受けて働いた場合、税金はどうなりますか?

障害年金は、非課税所得となるため税金はかかりません。

障害年金を受ける人が、会社等で働いて給与を受け取る場合、確定申告が必要です

(例)障害年金を80万円受ける人が、給与として150万円を得た場合
  • 給与分の150万円のみが課税対象となり、確定申告が必要

障害のある人は、税金面で様々な控除が受けられることがあります。

詳しい控除については、障害者と税|国税庁をご確認ください。

参考:非課税所得とは、どのようなものですか。|日本年金機構

働きながら障害年金を受給できた事例

働きながら障害年金を受給できた事例を2つご紹介します。

双極性障害で障害厚生年金3級を受給

  • ご相談者    30代 女性
  • 認定結果    障害厚生年金 3級
  • 支給額     年間約58万円 遡及分として150万円

【ご相談者様の状況】

一般雇用で勤務されており、初めて管理職に昇進されました。

管理職になったことで仕事の責任が重くなり、過労も重なって体調を崩して医療機関を受診したところ、「双極性障害」と診断されました。

ご相談当時、週に4日ほど勤務できていましたが「今後働けなくなるのでは…」と不安になり、障害年金の受給を考えて、弊所にお問い合わせいただきました。

【相談から障害年金請求までのサポート内容】

精神疾患のある方が、障害認定日時点も現在も一般雇用で働いているケースです。

就労や日常生活について詳しく伺うと、以下のようなことがわかりました。

  • 対人関係が難しく、特別に在宅ワークを許可されている
  • 病気の経緯を知る経営者の特別な配慮を受けて、なんとか働いている
  • 日常生活は、同居の母の全面的な介助があり成り立っている

上記の支援や生活の状況を、社労士が病歴・就労状況等申立書に具体的に記載しました。

【審査の結果】

障害厚生年金3級 約58万円+遡及分として約150万円の支給が決定しました。

社労士溝上裕紀

溝上社労士

「障害年金の受給が決定したので安心して生活がしていけます」とお喜びの声をいただきました。

うつ病で障害厚生年金3級を受給

  • ご相談者     60代 男性
  • 認定結果     障害年金 3級
  • 支給額      年間約100万円 遡及分として約440万円

【ご相談者様の状況】

自分自身も持病がありながら、高齢の母の介護を続けていたところ、ストレス過多となり「うつ病」を発症しました。

現在は無理をして会社に行っている状況で、精神的にとても辛く退職することも考えている最中に弊所へご相談をいただきました。

【相談から障害年金請求までのサポート内容】

うつ病を抱えながら、障害認定日当時に一般雇用で就労していました。

初診日が6年前にあり、遡及請求を念頭に入れ、サポートさせていただきました。

就労状況や日常生活について詳しくヒアリングさせていただいた結果、判明したことは下記のとおりです。

  • 管理職から一般職に降格している
  • 精神的な理由から遅刻や早退が度々あり、仕事に支障が出ている
  • フルタイムから時短勤務へ変更している
  • 休職をしながら、なんとか仕事を続けている
  • 食事の準備や金銭管理など、日常生活は同居の妻が全面的にサポートしている

上記の支援や生活の状況を、社労士が病歴・就労状況等申立書に具体的に記載しました。

また、主治医にも周囲の支援や就労支援の状況を診断書に反映していただきました。

【審査の結果】

障害厚生年金3級 約100万円+遡及分として約440万円の支給が決定しました。

社労士溝上裕紀
溝上社労士

「障害年金の受給が決定したので、退職して療養に専念していけます」との声をいただきました。

まとめ

障害年金は、受給要件を満たせば働いていても受け取ることができます。

厚生労働省によると、障害年金を受ける人の約半数は、働いていています。

働きながら障害年金を受けるには、診断書や病歴・就労状況等申立書で自分の生活上の困りごとや不便なこと、周りの支援内容、会社から受けている特別な配慮等を具体的に記載し伝えることが必要です。

特に、病歴・就労状況等申立書は自分で作成することが難しいと感じる人が多い書類です。

障害年金の申請や書類作成でお困りのときは、ゆうき社会保険労務士事務所がお力添えします。
どうぞお気軽にお問い合わせください。