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COLUMN

障害年金の必要書類一覧!ケース別でわかりやすくご紹介

「障害年金の請求をしたいけれど、書類が多くてわからない…」
「用意はできたけど、この書類で合っているのか心配」

障害年金の請求では、こんな声が多く聞かれます。

障害年金の請求には、多くの添付書類を用意しなければなりません。
「準備する書類がすごく複雑でわかりづらい」と驚く人も多くおられます。

そこで本記事では、障害年金の添付書類について詳しく解説します。

ケース別に必要となる書類や、障害年金の請求書の提出先も紹介するので、最後まで読んで障害年金請求の書類準備にお役立てください。

障害年金の請求に必ず必要な書類一覧

障害年金の請求に必ず必要となる書類は、以下のとおりです。

書類名概要や確認事項など書類を作成(用意)する人
年金請求書障害基礎年金と障害厚生年金の2種類の書式がある請求者
年金手帳や基礎年金番号通知書など基礎年金番号の確認のため請求者
戸籍謄本、戸籍抄本、戸籍の記載事項証明、住民票、住民票の記載事項証明書のいずれか請求者の生年月日を確認するため請求者
診断書所定の様式が8種類ある医師や歯科医師
受診状況等証明書初診日を確定するため医師や歯科医師
病歴・就労状況等申立書障害状態を確認するための資料請求者
障害年金を受け取る金融機関の通帳など請求者本人の名義のもの請求者

「年金請求書」「診断書」「受診状況等証明書」「受診状況証明書が添付できない申立書」「病歴・就労状況等申立書」は、年金事務所や街角の年金相談センターで受け取れます。

次章でそれぞれの書類について、詳しくみていきましょう。

年金請求書

障害年金の請求書は、以下の2種類があります。

年金の種類初診日に加入していた年請求書の種類
障害基礎年金国民年金年金請求書(国民年金障害基礎年金)様式第107号
障害厚生年金厚生年金年金請求書(国民年金・厚生年金保険障害給付)様式第104号
初診日とは、障害の原因となった傷病で初めて医療機関で診療を受けた日

障害年金は、初診日に加入していた年金により請求できる障害年金の種類が変わります。

初診日に会社員や公務員だった人は、厚生年金の加入期間なので障害厚生年金の受給対象となります。

一方で、専業主婦(主夫)や自営業、フリーランスの人や学生は、国民年金に加入しているので、障害基礎年金を請求できる人です。

年金手帳や基礎年金番号通知書など

基礎年金番号や年金の加入期間を確認するために必要となる書類です。

基礎年金番号通知書の様式

出典:令和4年4月から年金手帳に代わり基礎年金番号通知書を発行します|日本年金機構

年金手帳は令和4年に廃止され、現在は「基礎年金番号通知書」が発行されています。

従来の年金手帳も、引き続き「基礎年金番号が確認できる書類」として有効です。

お手元の年金手帳は破棄せず、大切に保管しておきましょう。

戸籍謄本、戸籍抄本、戸籍の記載事項証明、住民票、住民票の記載事項証明書のいずれか

障害年金の請求には生年月日の確認のために、上記のような書類の添付が必要です。

単身者の場合は、以下の場合は戸籍謄本等の添付を省略できます。

単身者の場合、以下のケースでは戸籍謄本等の添付は原則不要
  • 日本年金機構にマイナンバーが登録されている
  • マイナンバーが登録されていない場合は、年金請求書にマイナンバーを記入する

ただし、「年金請求書」を共済組合等に提出する場合には住民票等の添付書類が必要になる場合があります。提出先の共済組合等へご確認ください。

診断書

診断書は、主治医に作成を依頼する書類です。

障害年金の請求の時期により、必要となる診断書の有効期限や枚数が変わります。

請求の時期必要な診断書
障害認定日※1から1年以内障害認定日より3か月以内の現症のもの
障害認定日から1年以上経過している障害認定日より3か月以内のもの
年金請求日から3か月以内の現症のもの
事後重症請求※2年金請求日から3か月以内のもの
※1 障害認定日とは、初診日から1年6か月経過した日のこと
※2 事後重症請求とは、障害認定日には症状が軽く、その後障害状態に該当するようになったときに障害年金を請求すること

診断書には、病名、障害の状態や治療の経過、障害によって仕事や日常生活にどの程度の支障があるかが主治医の視点で書かれています。

障害年金の審査の判断基準となる障害の程度は、診断書で決まると言っても過言ではありません。

診断書は障害年金の審査に、とても重要な役割を担っているのです。

特に精神疾患での請求の場合、診断書に記載される日常生活能力が重視されます。

普段の診察では主治医とコミュニケーションを密にして、日常生活の様子や困りごとなどを伝えることで、診断書に反映してもらえる可能性が高まるでしょう。

診断書は傷病により次の8種類があります。

眼の障害

聴覚・鼻腔機能・平衡感覚・そしゃく・嚥下・言語機能の障害

肢体の障害

精神の障害

呼吸器疾患の障害

循環器疾患の障害

腎疾患・肝疾患・糖尿病の障害

血液・造血器・その他の障害

引用:障害年金の請求手続き等に使用する診断書・関連書類|日本年金機構

診断書に併せて、レントゲンフィルムや心電図のコピーの提出が必要な場合もあります。

受診状況等証明書

「受診状況等証明書」は、初診日を明らかにするために医師が作成する書類で、障害の原因となった傷病で初めてかかった医療機関に作成を依頼します。

初診の医療機関で作成ができないときは、2番目に診てもらった医療機関で作成を依頼しますが、2番目で作成できないときは3番目…というように、古い順番に作成依頼をしていきます。

しかし、初診日から何年も経っている場合、カルテの保存期間が過ぎてカルテが廃棄されていたり、医療機関が閉院となっていたりして初診日の証明ができないケースも多く見られます。

そんなときには「受診状況等証明書が添付できない申立書」を本人が作成し、初診日を客観的に証明する参考資料を添付して日本年金機構に申請します。

ただし、日本年金機構での審査の結果、申請した日が初診日と認められるとは限りません。

受診状況等証明書
出典:受診状況等証明書(表面)|日本年金機構

次の場合は、受診状況等証明書の添付が不要です。

  • 初診時と診断書の作成を依頼する医療機関が同じ
  • 知的障害で療育手帳の写しが提出できる

参考:障害年金の初診日証明書類のご案内|日本年金機構

病歴・就労状況等申立書

「病歴・就労状況等申立書」は、障害年金を申請する本人が作成する書類です。

病歴・就労状況等申立書には、発病から現在までの病歴や通院歴、就労状況や日常生活の様子や困りごとなどを記載し、年金の審査をする人に自分の生活の様子を知ってもらう役割があります。

受診状況欄には初診日からの経過がわかるように受診した医療機関名や診療科目、診療日、治療内容を日付順に記載します。

もし、診療を受けていない時期があればその理由も記入しましょう。

病歴・就労状況等申立書(表面)

出典:病歴・就労状況等申立書|日本年金機構

病歴・就労状況等申立書は基本的に請求者本人が作成する書類ですが、「自分の力だけでは記載するのが難しい」と感じる人は少なくありません。

自分で作成することに不安がある場合は、障害年金専門の社会保険労務士へ作成を依頼することもできます。

病歴・就労状況等申立書をもっと詳しく知りたい人は、病歴・就労状況等申立書は障害年金の重要書類!書き方や記入例もご紹介をご覧ください。

障害年金を受け取る金融機関の通帳など

年金請求書には、忘れずに年金の受け取りを希望する金融機関の通帳やキャッシュカードのコピーを添付しましょう。

コピーを提出する際には、カナ氏名、金融機関名、支店番号、口座番号が書かれているか確認してください。

請求書に金融機関の証明を受けた場合は、コピーの添付を省略できます。

また、インターネット専業銀行への振込も可能です。

年金の振込先に指定できる主なインターネット専業銀行
  • ソニー銀行
  • 楽天銀行
  • 住信SBIネット銀行
  • イオン銀行
  • PayPay銀行
  • GMOあおぞらネット銀行 など

インターネット専業銀行を振込先に指定する際は、金融機関名、支店名、口座番号、口座名義(カタカナ)が確認できるページをプリントアウトし、年金請求書に添付しましょう。

詳しくは、インターネット専業銀行で年金の受け取りはできますか。|日本年金機構をご確認ください。

配偶者またはお子様がいる方に必要な書類一覧

障害年金には、期間限定の家族手当のような加給金がつく制度があります。
加給金について下表にまとめました。

加給金がつく年金の種類や等級加給金の対象となる人
障害厚生年金1級・2級・配偶者
・18歳未満の子
・20歳未満で障害の状態にある子
障害基礎年金・18歳未満の子
・20歳未満で障害の状態にある子

この加算金の審査に必要となるのは、次のような書類です。

書類名確認事項など
戸籍謄本(記載事項証明書)配偶者と子の氏名や生年月日、請求者との続柄を確認するため
世帯全員の住民票の写し
請求者との生計維持関係を確認するため
マイナンバーを請求書に記載すれば、省略できる
配偶者の収入が確認できる書類

所得証明書、課税(非課税)証明書、源泉徴収票など
生計維持関係確認のため
マイナンバーを請求書に記載すれば、省略できる
子の収入が確認できる書類生計維持関係確認のため
義務教育終了前:不要
高等学校等在学中の場合:在学証明書または学生証のコピーなど
マイナンバーを請求書に記載すれば、省略できる
医師または歯科医師の診断1級または2級の障害状態にあることを確認するため
20歳未満で障害の状態にある子がいる場合は必要

参考:障害厚生年金を受けられるとき|日本年金機構

障害の原因が第三者行為の場合に必要な書類一覧

第三者の行為で負ったけがや病気で障害年金を請求する際には、次のような書類を添付します。

書類名概要など
第三者行為事故状況届事故状況や事故の相手方の情報、損害賠償金などを申告する書類
所定の書式あり※1
交通事故証明または事故が確認できる書類事故証明※2がとれない場合は、事故内容がわかる新聞のコピーなど
確認書所定の書式あり※1
被害者に被扶養者がいる場合、扶養していたことがわかる書類源泉徴収票、健康保険証のコピー、学生証のコピーなど
損害賠償金の算定書示談書など、受け取った賠償額が確認できる書類のコピー
損害保険会社等への照会に係る「同意書」所定の書式あり※1
※1 「第三者行為事故状況届」「確認書」「同意書」は、年金事務所や街角の年金相談センターで受け取れる
※2 事故証明書は自動車安全運転センターで交付される

第三者行為とは?

第三者行為とは、自分ではなく他者の行為で負ったけがや病気のことを指します。

第三者行為の例
  • 交通事故
  • 鉄道による事故
  • 仕事上で負ったけが等(業務災害)

自損事故や、業務災害で労災から給付を受けている場合にも、第三者行為事故状況届の提出が必要です。

請求者の状況により必要な書類一覧

障害年金の請求者本人の状況により必要となる書類は、次のようになります。

請求者の状況必要な書類
以前、共済組合に加入していた年金加入期間確認通知書
20歳前の障害基礎年金を申請する請求者の所得証明書
ほかの公的年金から年金支給がある年金証書(本人・配偶者ともに必要)
障害者手帳を持っている身体障害者手帳・療育手帳
ほかの年金を受け取っている年金受給選択申出書
障害認定日から1年以上経過している請求事由確認書
障害認定日(初診から1年6か月を経過した日)の翌日から5年経過している年金裁定請求の遅延に関する申立書
国民年金に任意加入しなかった期間がある合算対象期間がわかる書類
 合算対象期間とは、年金額には反映されないが、年金を受け取るために必要となる年金加入期間としてみなされる期間のこと

合算対象期間が確認できる書類は次のとおりです。

  • 配偶者が国民年金以外の公的年金制度の被保険者または組合員であった期間のある人は、配偶者が組合員または被保険者であったことを証する書類
  • 配偶者が国民年金以外の公的年金制度または恩給法等による老齢(退職)年金を受けることができた期間のある人は、配偶者が年金を受けることができたことを証する書類のコピー
  • 本人が国民年金以外の公的年金制度または恩給法等による遺族年金等をうけることができた期間のある人は、本人が当該年金等を受けることができたことを証する書類のコピー
  • その他、海外在住の期間等があったときは、このことを証する書類
引用:障害厚生年金を受けられるとき|日本年金機構

なお、身体障害者手帳・療育手帳がなくても障害年金の請求はできますが、審査の際に障害の状態を確認する補足資料となります。

障害者手帳を所持している場合は、忘れずに添付しましょう。

参考:障害厚生年金を受けられるとき|日本年金機構

参考:障害基礎年金を受けられるとき|日本年金機構

ケース別に見る障害年金の必要書類一覧

ここまで障害年金の添付書類をみてきましたが、具体的にどの書類が必要なのかイメージできない人もいるのではないでしょうか。

ここでは、個人の状況により必要となる書類を例示していきます。

単身者が障害厚生年金を請求する場合

  • 年金請求書(様式104号)
  • 戸籍謄本や、住民票など
  • 基礎年金番号が確認できるもの(年金手帳など)
  • 診断書
  • 受診状況等証明書
  • 病歴・就労状況等申立書
  • 振込金融機関の通帳などのコピー

単身者の場合、日本年金機構にマイナンバーが登録されていたり、年金請求書にマイナンバーを記載すると、戸籍謄本等の添付は省略できます。

配偶者と小学生の子がいる人が障害厚生年金を請求する場合

  • 年金請求書(様式104号)
  • 戸籍謄本
  • 世帯全員の住民票の写し
  • 配偶者の収入が確認できる書類
  • 基礎年金番号が確認できるもの(年金手帳など)
  • 診断書
  • 受診状況等証明書
  • 病歴・就労状況等申立書
  • 振込金融機関の通帳などのコピー

子が義務教育を受けている年齢なので、子の在学証明は不要です。

配偶者のいる人が障害認定日から1年以上経過して障害厚生年金を請求する場合

  • 年金請求書(様式104号)
  • 戸籍謄本
  • 世帯全員の住民票の写し
  • 配偶者の収入が確認できる書類
  • 基礎年金番号が確認できるもの(年金手帳など)
  • 診断書(障害認定日より3か月以内のもの、年金請求日から3か月以内の現症のもの)
  • 受診状況等証明書
  • 病歴・就労状況等申立書
  • 請求事由確認書
  • 振込金融機関の通帳などのコピー
社労士溝上裕紀

溝上社労士

いずれのケースも請求者の通院歴や病歴など、それぞれ個別の状況により、日本年金機構からさらに添付書類を求められることがあります。
実際に障害年金を請求する際には、年金事務所等でご自身に必要な書類を確認してください。

障害年金の請求書の提出先

障害年金の請求書の提出先は、初診日に加入していた年金制度により、次のようになります。

初診日に加入していた年金制度年金請求書の提出先
国民年金お住まいの市区町村役所

初診日に国民年金第3号被保険者だった人は、年金事務所または街角の年金相談センター
厚生年金年金事務所
街角の年金相談センター
共済年金初診日に加入していた共済組合

参考:障害厚生年金を受けられるとき|日本年金機構

参考:障害基礎年金を受けられるとき|日本年金機構

参考:障害厚生年金|国家公務員共済組合連合会

障害年金の必要書類|よくある質問

障害年金の必要書類について寄せられる質問に回答していきます。

戸籍謄本や住民票を別の手続きでも使うので、返してほしいのですが…

障害年金の手続きで必要な戸籍謄本や住民票、課税証明書などは、年金事務所等に原本の返却を申し出れば返却してもらえます。

原本を提出すると、年金事務所等でコピーを取ったあと、原本を返却してもらう流れです。

詳しいことは、添付書類の原本の返却を希望するとき|日本年金機構でご確認ください。

障害年金の申請の流れを教えてください

障害年金申請の大まかな流れは、次のとおりです。

 
障害年金の受給要件を満たしているか調べる
 
 
 
障害年金の書類を作成する
 
 
 
年金事務所等に請求書を提出する
 

障害年金を請求できるかをまず調べるために、年金事務所等で年金の加入期間や保険料の納付状況を調べましょう。

障害年金の受給要件を満たしていたら、請求書や病歴・就労状況等申立書や診断書等の添付書類を準備して、年金事務所等に提出します。

社労士溝上裕紀

溝上社労士

障害年金の請求ができるか判断に迷うときや、書類の作成が大変なときは社会保険労務士に障害年金の申請代行を依頼できます。
ゆうき社会保険労務士事務所では、全国から多くのご依頼をいただいております。
遠方の方も、ぜひお気軽にご相談ください。

障害年金の受給要件の詳細は、障害年金の3つの受給条件とは?年齢は関係ある?わかりやすく解説!で紹介していますので、ぜひご覧ください。

障害年金の手続きに印鑑は必要ですか

年金手続きの押印は、原則廃止となっています。

ただし、金融機関へのお届け印、実印による手続きが必要なもの等は引き続き押印が必要です。

押印が必要な書類は以下のようなものがあります。

  • 国民年金保険料口座振替納付(変更)申出書
  • 公的年金等の受給者の扶養親族等申告書
  • 委任状(年金分割の合意書請求用) など

年金手続きでの押印についての詳細は、令和2年12月25日より年金手続きの押印を原則廃止します|日本年金機構でご確認ください。

まとめ

障害年金申請のための書類は種類が多く、病歴や通院歴など個人の状況により変わることもあり、とても複雑です。

書式の様式や書き方などを正確に理解して準備しないと、年金事務所等で受け付けてもらえないこともあります。

障害年金の必要書類の疑問は、年金事務所や障害年金専門の社会保険労務士へ相談しましょう。