更新日:2026.01.05
障害年金は一人暮らしでももらえる!受給できる4つのケースと医師への伝え方
うつ病などの精神疾患を抱えながら一人暮らしを続けるなかで「自分は障害年金をもらえないのでは」と不安を感じる方は少なくありません。
結論からお伝えすると、一人暮らしでも障害年金は受給できます。
大切なのは今の居住形態ではなく、病気によって日常生活にどれほどの支障が出ているかを正確に伝えることです。
この記事では、障害年金専門の社労士が、一人暮らしで受給できるケースや注意する点などをわかりやすく解説します。審査で重視される生活実態の伝え方を知ることで、受給への道筋がはっきりと見えてくるはずです。
あなたのこれからの生活を守るために、ぜひ最後までお読みください。
目次
障害年金は一人暮らしでも受給できる!
一人暮らしだからという理由だけで、障害年金がもらえないということはありません。
たとえ一人で住んでいても、病気の影響で生活や仕事に大きな支障が出ていれば、障害年金を受け取る権利はあります。国の審査基準である「ガイドライン」にも、独居の方について次のように書かれています。
独居であっても、日常的に家族等の 援助や福祉サービスを受けることによ って生活できている場合(現に家族等 の援助や福祉サービスを受けていなく ても、その必要がある状態の場合も含 む)は、それらの支援の状況(または 必要性)を踏まえて、2級の可能性を 検討する。
引用:精神の障害に係る等級判定ガイドラインp7|厚生労働省
つまり、「一人暮らし」をしている事実よりも、その生活を維持するために「どれほどの援助を必要としているか」という実態が重視されるということです。
例えば、現在は誰の助けも借りられずに孤立していても、本来サポートが必要なほど日常生活に支障があれば、障害年金の受給の可能性は十分にあります。
一人暮らしでも障害年金を受給できる4つのケース
精神疾患で一人暮らしをしていても、以下のような場合は障害年金が認められやすくなります。
もし、これら4つのいずれかに当てはまるなら、一人暮らしであることが障害年金の受給において大きな壁にはなりません。
それぞれの詳細を見ていきましょう。
家族や友人のサポートを受けている
別々に暮らす家族や友人から日常的な支援を受けているなら、一人暮らしであっても障害年金を受給できる可能性が十分にあります。
形式上は一人で住んでいても、頻繁に誰かが訪ねてきて生活を支えているのであれば、それは「自立した生活」とはみなされません。
具体的には、以下のようなサポートを受けているケースでは障害年金の受給ができる可能性があります。
| 支援の種類 | 具体的なサポート内容 |
|---|---|
| 家事の援助 | 親や親戚が定期的に掃除、洗濯、料理の作り置きをしてくれる |
| 外出の付き添い | 不安感から一人で外出できず、友人や家族に送迎や同行を頼んでいる |
| 金銭・服薬管理 | 家族に家計を任せたり、電話で薬の飲み忘れを確認されている |
| 安否確認・相談 | 毎日家族から体調確認の連絡があり、精神的に支えられている |
審査官に「誰の助けも借りずに一人暮らしができている」と誤解されないよう、こうした目に見えにくい支援をしっかりアピールしましょう。
ヘルパーなどの福祉サービスを受けている
家族や友人の助けがなくても、ヘルパーなどの福祉サービスを利用していれば、障害年金が認められる可能性が高まります。
公的なサービスを使いながら生活を維持している事実は、審査において「一人では日常生活が困難である」という強力な証拠です。
主に以下のような福祉サービス利用が該当します。
| サービス名 | 支援の実態 |
|---|---|
| 居宅介護 (ヘルパー) | 清掃や調理、買い物などの家事を代行してもらっている |
| 訪問看護 | 看護師が自宅を訪問し、服薬の確認や精神面のケアを受けている |
| 自立訓練・就労移行 | 日中の活動場所として通い、社会復帰のための支援を受けている |
| 相談支援事業所 | 相談員と定期的に面談し、生活全般の計画や調整を頼んでいる |
上記のような福祉サービスは、一人暮らしを続けるために不可欠な「命綱」といえます。
利用頻度や具体的な支援内容を診断書や病歴・就労状況等申立書に反映させることで、障害年金の審査官に生活の深刻さを正しく理解してもらえます。
自分一人の力だけで生活しているわけではないことを、客観的な事実として伝えていきましょう。
やむを得ない状況で一人暮らしをしている
病状の悪化や親族がいないなどの切実な事情により、やむを得ず一人で暮らしている場合も、障害年金が認められる可能性は十分にあります。
自発的に自立した生活を選んだわけではなく、以下のように「一人で生活するしかない理由」があるときは、審査において配慮されます。
| やむを得ない理由 | 具体的な状況 |
|---|---|
| 家族の理解不足 | 病気への理解が得られず、同居することでかえって病状が悪化する恐れがある |
| 身寄りがない | 両親がすでに他界しており、兄弟姉妹などの頼れる親族が近くにいない |
| 対人ストレス | 誰かと暮らすこと自体が強いストレスになり、一人でいるしか選択肢がない |
| 安全の確保 | 家族からのDV被害や深刻なトラブルがあり、避難せざるを得ない |
上記のような状況にある方は、「症状が良くなったから」一人で住んでいるわけではありません。それにもかかわらず、単に「一人暮らしをしている」とだけ審査官に伝わると、生活の実態を誤解され、症状が軽いと判断されるリスクが生じます。
診断書や申立書を通じて、一人暮らしをせざるを得ない実態を的確に審査官へ届けることが、とても重要です。
生活が破綻している(セルフネグレクトなど)
一人暮らしによって生活や仕事に深刻な支障が出ている場合は、障害年金を受給できる可能性が非常に高いと言えます。
一人で暮らしていても、実際には自分のケアができない「セルフネグレクト」の状態に陥っているならば、「生活能力は著しく低下している」といえます。
具体的には、以下のような状況があれば、「生活が破綻してる」という判断の目安となるでしょう。
| 項目 | 具体的な実態 |
|---|---|
| 住環境の悪化 | 掃除や片付けが全くできず、室内がゴミ屋敷のようになっている |
| 清潔保持の困難 | お風呂に入る、歯を磨くといった習慣が維持できず、身なりが荒れている |
| 食生活の乱れ | 食事の用意ができず栄養が偏る、あるいは数日間食べないこともある |
| 健康被害 | 不衛生な環境や栄養失調により、明らかに体調を崩している |
このように基本的な習慣ができず、生活が破綻しているケースでは、一人暮らしができているのではなく、むしろ一人暮らしをすることで生命や健康に危険が及んでいるとみなされます。
診断書等を通じて、基本的な習慣が失われている事実を客観的に証明できれば、障害年金の審査においても「重度の障害」として評価され、受給の可能性が高まります。
なぜ精神疾患の審査では「一人暮らし」が重視されるのか?
精神疾患の審査で住居形態が問われるのは、周囲の援助がどれくらい必要かを判断する「モノサシ」になるからです。
身体障害とは異なり、精神疾患の診断書には同居人の有無を記載する専用の欄があります。これは検査で数値化できない病状を、「誰の手を借りて生活しているか」という客観的な事実から測るためです。
-1024x495.jpg)
「一人暮らしをしている」という事実だけが伝わると、審査側に「自立した生活ができるほど元気だ」と誤解されるリスクがあります。しかし、実際には無理をして一人暮らしを続け、生活がボロボロになっている方も多いはずです。
障害年金の審査では、「無理をしている実態」を正しく伝えることが欠かせません。
身体障害との違い|数値で測れないからこそ「生活」が見られる
身体障害の場合、例えば「足が不自由で歩けない」という事実は、一人暮らしをしていても変わることはなく、検査結果やレントゲンなどで客観的に証明できます。
しかし、うつ病や発達障害などの精神疾患は、数値で障害の重さを測ることができません。そのため、「どの程度周りの助けを借りて生活しているか」が、病状の重さを測る代わりのモノサシとなります。
- 同居家族がいる場合
家族が食事を作り、薬の管理をしている=「援助が必要な状態」と判断しやすい。 - 一人暮らしの場合
自分で食事を作り、薬も飲んでいるはず=「援助がなくても生活できる状態」と誤解されやすい。
このように、精神疾患の審査では「生活環境(誰と住んでいるか)」が、そのまま「障害の重さ」として直結して判断されてしまうため、一人暮らしであることが審査に大きな影響を与えるのです。
医師に「家での本当の姿」を正しく伝える方法
医師とのコミュニケーションに不安があるときは、書面で伝えることをおすすめします。
診察室での様子だけでは、一人暮らしでの生活にどのような苦労があるか、主治医には正確に伝わりきらないことがあります。だからこそ、自宅での具体的な状況をこちらから共有することが欠かせません。
医師に渡す「日常生活の困りごとメモ」の具体例
医師に日常生活の実態を正確に伝えるために、以下の項目をメモにまとめ、診察時に手渡すか、読み上げながら相談することをおすすめします。
| 項目 | 医師に伝えるべき「具体例」 |
|---|---|
| 食事のこと | ・自炊は全くできず、コンビニの菓子パンやカップ麺が中心。 ・意欲がわかず、1日1食しか食べられない日が多い。 |
| 清潔保持のこと | ・お風呂は週に1回入るのが精一杯。・着替えもできず、数日間同じ服を着て過ごしている |
| 掃除・片付け | ・ゴミ出しができず、部屋にゴミが溜まっている。・洗濯物が溜まっていても、洗ったり干したりする気力がわかない。 |
| 外出・買い物 | ・人が多い場所が怖くて、スーパーへ買い物に行けない。・通院以外は引きこもり状態で、数日間誰とも話さない。 |
| 睡眠・服薬 | ・薬を飲み忘れることが多く、家族からの電話連絡で確認している。 ・夜中に何度も目が覚め、日中は倦怠感で起き上がれない。 |
【メモを作成する際のポイント】
- 「できないこと」を遠慮せず書く
「本当はしなきゃいけないけれど、できていないこと」が、病状の重さを伝える材料になります。 - 「援助の有無」を添える
「週に一度、別居の母に掃除をしてもらっている」など、外部の助けがある場合は必ず伝えましょう。 - スマホのメモ機能でもOK
紙に書くのが大変な場合は、スマホのメモを見せながら話すだけでも十分効果的です。

障害年金の診断書の注意点やチェックポイントについては、下記の関連記事で詳しく解説しています。
▶障害年金の審査は診断書で決まる?知っておきたい注意点と社労士のサポート
▶【図解】障害年金診断書チェック完全ガイド|提出前に確認すべきポイント(精神疾患編)
病歴・就労状況等申立書で「できないこと」を具体化する書き方のコツ
病歴・就労状況等申立書には「何ができないか」を、数字や具体的なエピソードを交えて客観的に記入しましょう。
一人暮らしをしている場合、「しんどい」「辛い」と心情を書くだけでは、審査官に生活の困難さが伝わりません。現状を正しく把握してもらうためには、以下の3つのポイントを意識して書きましょう。
| 記入のポイント | 具体的な書き方のコツ |
|---|---|
| 頻度と程度を数字で示す | 「週に1回シャワーが精一杯」 「食事が偏り、3ヶ月で5kg痩せた」など数字を出す |
| 生活の破綻を伝える | 「ゴミを出せず悪臭がする」 「足の踏み場がない」など実態を書く |
| 制限がある状況を書く | 「人が多いとパニックになるので、深夜のコンビニでしか買い物できない」など |
また、一人暮らしであっても外部の助けを借りているなら、その事実を漏らさず記載してください。
- 家族の援助: 週1回親が来て掃除や作り置きをしてくれている
- 福祉サービス: 訪問看護がなければ薬を飲み忘れてしまう
- 知人の協力: 通院は友人の付き添いがないと外出できない など
このように、援助があって初めて成り立っている生活を具体化しましょう。誰の助けも借りずに完璧な一人暮らしができているわけではないと証明することが、障害年金の受給へ繋がります。
なぜ一人暮らしなのかも忘れずに記載
障害年金の審査では「自立したくて一人暮らしをしているのではない」という理由を明確に伝えることが極めて重要です。
審査官に「自立できている」と誤解されないよう、「あえて一人で住んでいる理由」を明確に伝えることが重要です。
なぜ他者との同居が難しいのか、その背景を整理して伝えましょう。
- 症状の悪化: 家族への暴言や暴力が出てしまう
- 理解不足: 家族の無理解により精神的な負担が大きすぎる
- ストレス回避: 他者と暮らすこと自体が病状を悪化させる
こうした切実な事情を「病歴・就労状況等申立書」に正確に記すことで、一人暮らしであっても生活能力が低い実態を正しく評価してもらえます
病歴・就労状況等申立書は、障害年金の重要書類の一つで、申請者が作成します。
病歴・就労状況等申立書は障害年金の重要書類!書き方や記入例もご紹介で、記入方法を解説しています。
動画で知りたい方は、こちらをご覧ください。ゆうき事務所代表社労士がわかりやすく解説しています。
【データで見る】一人暮らしで障害年金をもらっている人の割合
精神疾患で障害年金を受け取りながら一人暮らしをしている方は、全体の約2割にのぼると予想されます。
「一人暮らしで障害年金を受給している人はいるの?」と不安に思うかもしれませんが、決して特別なことではありません。
厚生労働省の統計データ(平成30年度厚生労働白書)によると、精神障害者保健福祉手帳を持つ方のうち、約2割弱が単身で生活しています。
以下は、厚生労働白書の一部抜粋です。

障害年金を受給する方の多くは障害者手帳も所持しているため、「障害年金」の受給者全体でも「一人暮らし」の割合は同程度あると考えられます。
実際に多くの方が「一人暮らし」をしながら「障害年金」を受給しています。「一人暮らしだから」と諦める必要はありません。
【受給事例】うつ病で一人暮らしでも諦めない!障害厚生年金3級・遡及140万円を受給
- 傷病名: うつ病
- 年代・性別: 50代 女性
- 認定結果: 障害厚生年金3級(年額約60万円)+ 遡及分約140万円
パワハラによるうつ病を発症した50代女性(元会社員)のケースです。ご相談時、初診日から4年以上が経過していたため、遡及請求を目指しました。
最大の課題は、ご本人が「受給は難しい」と懸念されていた「一人暮らし」の状態でした。気分が落ち込み、元々細身だった体から体重が4kgも減少し、買い物に出ても不安で何も買えずに帰宅することが度々あるなど、日常生活の維持が極めて困難な状況でした。
ゆうき事務所の社労士は、「一人暮らし」だからこその食事や買い物といった生活行動の困難さを徹底的にヒアリングし、「病歴・就労状況等申立書」に的確に記述することで、うつ病による生活能力の具体的な低下を説得力をもって裏付けました。
障害厚生年金3級に加え、生活の再建に役立つ遡及分約140万円も同時に支給決定となりました。一人暮らしでも障害年金は受給できます。諦めずにご相談ください。
遡及請求については、【最大5年分まとめて支給】障害年金の遡及請求は難しい?必要書類や受給事例もご紹介で、詳しく紹介しています。
一人暮らしでの障害年金申請でよくある質問
Q.家族からサポートはあるけれど、住民票上では一人暮らしです。
A.住民票の記載よりも、サポートがある実態が評価されます。
住民票では一人世帯でも、「家族が週に1回買い物や掃除をしてくれる」「服薬できたか、電話で確認している」などのサポートがあれば、審査で評価されます。診断書や病歴・就労状況等申立書に正確に記載しましょう。
Q.一人暮らしをすると、障害年金は支給停止になりますか?
A.障害年金を受けている人が一人暮らしとなった場合、すぐに支給停止にはなりません。
障害年金は多くの場合、1~5年で更新をします。一人暮らしとなっても、次の更新までは障害年金は支給されます。
更新の際に、一人暮らしであっても、日常的に家族等の援助や福祉サービスを受けることによって生活ができていることや、今は援助を受けていなくても、援助の必要があり、障害等級に該当すれば、引き続き障害年金が受け取れます。
Q.一人暮らしでの障害年金申請は、自力でもできますか?
A.障害年金は、自分で申請することができます。
しかし、うつ病や発達障害などのメンタル疾患がある人の場合、障害の度合いを検査等で客観的に評価できません。そのため、正確な病状や、審査に必要な情報を整理して書類にまとめるのは難しいといえます。
申請の負担を軽くしたい、スムーズに申請したい、自分ではできないという場合には、障害年金専門の社労士へご相談ください。
障害年金の申請でお困りの方へ
社会保険労務士法人ゆうき事務所(大阪障害年金サポートデスク)は、発達障害やうつ病などのメンタル疾患に特化した障害年金専門の社労士事務所です。
社労士が丁寧にヒアリングをして、あなたの症状やライフスタイルに合わせてサポートします。
初回は無料で相談できますので、ぜひお問い合わせください。
まずは無料相談から始めませんか?
障害年金の専門家が、あなたの状況に合わせて
丁寧にサポートいたします
受付時間:平日 09:00〜18:00