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障害年金の第三者証明とは?記入例や頼まれた時の対応を社労士が解説

障害年金の請求では、「初診日を証明できるかどうか」が受給の可否を左右する重要なポイントです。しかし初診から長い年月が経っていると、病院がすでに閉院していたり、カルテの保存期間が過ぎて記録が残っていなかったりすることも珍しくありません。

そのようなときに頼りになるのが、障害年金の第三者証明です。
とはいえ、「誰に頼めるのか」「家族でもいいのか」「どう書けば認めてもらえるのか」など、不安に思う方も多いでしょう。

この記事では、障害年金の第三者証明について、制度の仕組みから書き方、記入例、そして証明を頼まれたときの対応まで、わかりやすくお伝えします。

この記事でわかること
  • 障害年金の第三者証明とはどんな書類か
  • 第三者証明を書ける人・書けない人の違い
  • 信用してもらいやすい書き方や例文
  • 証明してくれる人がいないときの対処法

目次

障害年金の第三者証明とは「初診日を証明する最後の手段」

障害年金の第三者証明とは、初診日を裏付ける「受診状況等証明書」が取得できないときに、本人や家族以外の人に当時の様子を証明してもらう書類のことです。

第三者証明の正確な名称は「初診に関する第三者からの申立書」と言います。

第三者証明

出典:初診日に関する第三者からの申立書(第三者証明)|日本年金機構

本来、初診日は病院が当時のカルテをもとに作成する「受診状況等証明書」で証明します。ところが、次のような事情で受診状況等証明書が用意できないことがあります。

  • 初診から数十年が経っている
  • 病院がすでに廃業・移転している
  • カルテの保存期間(5年)を過ぎて記録が処分されている

こうしたときに、「当時たしかに通院していた」という事実を、本人や家族以外の第三者に文書で証明してもらう仕組みが第三者証明です。「受診状況等証明書が添付できない申立書」とあわせて年金事務所へ提出します。

ただし、第三者証明は誰でも自由に書けるわけではありません。書ける人の条件や、内容の信頼性を保つためのルールが細かく定められています。

障害年金で初診日が重視される理由

初診日が重視されるのは、初診日によって年金の種類と障害年金を申請できるかどうかが決まるからです。

具体的には、初診日をもとに次の2点が判断されます。

判断される内容詳細
年金の種類障害基礎年金か障害厚生年金か
受給資格保険料を必要な期間きちんと納めていたか


つまり、どれほど障害の状態が重くても、初診日を証明できなければ申請そのものができません。

特に精神疾患や発達障害は、初診から申請までの期間が長くなりやすく、証明書類が残っていないことが多いのです。こうしたケースの心強い味方になるのが、第三者証明です。

社労士溝上裕紀
溝上社労士

初診日がはっきりせず、受診状況等証明書が取れない場合は、第三者証明と客観的な資料をあわせて、ひとつずつ丁寧に積み上げていくことが大切です。

初診日の調べ方については、障害年金の初診日とは?カルテがないときの対処法もご紹介!で詳しく解説しています。

代表社労士が動画でも解説していますので、ぜひご覧ください。

障害年金の第三者証明を書ける人・書けない人

第三者証明では、誰が申立人になれるかを正しく知っておくことが、認めてもらうための大切なポイントです。
内容がどれだけ詳しくても、申立人の条件を満たしていなければ証拠として扱われません。

友人や同僚は申立人になれる

友人や同僚は、障害年金の第三者証明の申立人になれます。重視されるのは、初診当時の状況を直接知っているかどうかです。実際には、次のような立場の人が申立人になるケースが多く見られます。

  • 学生時代の友人
  • 職場の同僚
  • 近所の知人

例えば「通院のために早退していた」「病院へ付き添った」「体調不良で欠勤が多かった」といった具体的な事実を知っている人は、有力な証言者になります。

「なぜその時期のことを覚えているのか」という理由まで書いてもらうと、内容の信頼性がさらに高まります。

三親等以内の家族・親族は申立人になれない

三親等以内の親族は、原則として第三者証明の申立人になれません。

具体的には、次の関係の人が対象外です。

親等申請者との関係
一親等父母
二親等祖父母、兄弟姉妹
三親等伯叔父・伯叔母、甥・姪

三親等以内の親族は、どれほど詳しく事情を知っていても、本人と利害関係があるとみなされ、客観性が認められないためです。

なお、家族の話がまったく無駄になるわけではなく、補助的な参考情報として考慮されることはあります。

いとこは第三者証明を書ける

いとこは四親等にあたるため、第三者証明の申立人として認められます。
「親族だから無理」と思われがちですが、いとこは三親等以内に含まれないため、制度上は家族ではなく第三者として扱われるのです。

幼少期から付き合いがあり、当時の通院の様子や体調の変化を間近で見ていたいとこは、有力な証言者になり得ます。証明してくれる人が見つからないときは、まず身近ないとこや昔からの友人を思い出してみるとよいでしょう。

医師や看護師による証明は特例扱い

医療従事者による第三者証明は、特に高い証拠力を持ちます。初診当時に勤務していた医師や看護師、精神保健福祉士、薬剤師などが、職務上知っていた事実を証明する場合、一般的な第三者証明より信頼性が高いと判断されます。

証明者必要な人数
一般的な第三者(友人・同僚など)2名以上
医療従事者1名のみで認められる場合がある


なお、受付や事務など医療行為に関わらない職員は、この特例の対象にはなりません。診療や看護に直接携わっていた立場であることが条件です。

参考:かけはし別冊障害年金講座(5ページ)|日本年金機構

第三者証明が認められる3つのパターン

日本年金機構は、申立人が初診当時の状況をどのように知ったのかを重視しています。認められるパターンは、次の3つです。

1. 初診当時の状況を直接見聞きしていた

病院への付き添いをした人、救急搬送に同乗した人、当時の診療に関わった医療従事者など、実際に見たり体験したりした人の証言は、信頼性が高いとされます。特に医療従事者の第三者証明は最も信頼性があるとされています。

2. 初診当時に本人や家族から話を聞いていた

「最近〇〇病院へ通院を始めた」「体調不良で検査を受けた」など、初診に近い時期に本人や家族から聞いた内容を具体的に覚えている場合も、第三者の証言として有効です。

申請の5年以上前から初診時の話を知っていた

直接知らなくても、障害年金を申請するよりおおむね5年以上前に聞いていた話は、後から作られたものではないと判断され、信頼性が認められます。

いずれのパターンでも、「いつ」「誰から」「どんな内容を」聞いたのかを具体的に書いてもらうことで、説得力が増します。

「20歳前」と「20歳後」で異なる第三者証明の扱い

第三者証明で求められる証拠の重さは、初診日が20歳前か20歳後かで違います。
ここを理解しておかないと、資料を集める方向性を誤ってしまうので注意しましょう。

20歳前に初診日がある場合

20歳前に初診日がある場合、第三者証明による初診日の認定は、20歳以降より緩やかな基準で判断されます。

20歳前の障害基礎年金は保険料納付要件が問われず、給付内容も障害基礎年金のみのため、初診日を厳密に特定する必要性が低いのです。

そのため、証明書類が第三者証明のみであっても、内容を総合的に見て初診日が認められることがあります。

MEMO
先天性の知的障害については、「出生日」が初診日とみなされる特例があり、受診状況等証明書そのものが不要です。

発達障害や知的障害は幼少期の受診記録が残っていないことが多く、当時を知る先生や支援者、近隣の方による証明が重要な手がかりになります。

ただし、20歳前でも高校卒業後に就職して厚生年金へ加入していた場合は、20歳以降と同じく厳格な扱いになる点に注意してください。

障害年金の受給要件の詳細は、障害年金の3つの受給条件とは?年齢は関係ある?わかりやすく解説! をご覧ください。

動画でも詳しく解説しています。

20歳以降に初診日がある場合は「客観的資料」も必要

20歳以降に初診日がある場合は、第三者証明だけでなく、それを裏付ける客観的な資料も求められます。「もう何も残っていない」と感じる方が多いですが、まずは身の回りを探してみてください。

第三者証明を裏付ける資料の例

  • 診察券
  • 入院記録
  • 医療機関や薬局の領収書
  • 生命保険・損害保険・労災保険の給付申請時の診断書
  • 障害者手帳の申請時の診断書
  • 交通事故証明書
  • 医療情報サマリー
  • 勤務先の健康診断の記録
  • 健康保険の給付記録(レセプトを含む)

ひとつでも見つかれば、初診日を裏付ける手がかりになります。とくに診療科や医療機関名、受診した時期がわかる診察券やレセプトは、有力な証拠です。

手元に診察券が残っていなくても、健康保険組合に申請すればレセプトを取り寄せられることがあります。

ケース別に必要な書類をまとめると、以下のとおりです。

申請者の状況必要な書類
初診日が20歳未満
(厚生年金加入時を除く)
・申立書
・第三者証明2枚以上
初診日が20歳以降・申立書
・第三者証明2枚以上+参考資料
・初診時に関する参考資料
医療従事者が証明する場合・申立書
・第三者証明1枚のみ

 申立書とは、「受診状況等証明書が添付できない申立書」を指します。

参考:障害年金の初診日証明書類のご案内|日本年金機構

障害年金の第三者証明の書き方

第三者証明は、内容の具体性と信頼できる根拠が重視されます。「病院へ行ったと聞いた」というだけでは十分とはいえません。

第三者証明には、主に次のような記入項目があります。

第三者証明の記載事項の説明画像
※①〜⑦の番号は、説明をわかりやすくするために本記事で便宜的に振ったものです。
項目記入する内容
①請求者情報請求者(障害年金を申し込む本人)の氏名
当てはまる項目に〇をつける(選択形式)
③申立人との関係(当時)申立人が当時、請求者とどんな関係だったか
④申立人との関係(現在)申立人と請求者の現在の関係
⑤初診情報病名・受診した病院名・初診日
※ 不明な場合は知っている範囲で
⑥当時の様子初診のころの具体的な様子
なぜその時期を覚えているかという理由
⑦連絡先申立人の連絡先

信頼してもらいやすい書き方のコツ

第三者証明は、具体的な事実と「なぜ覚えているか」という根拠まで書くことで、内容の信頼性が高まります。わかる範囲で、次のような内容を盛り込んでみてください。

  • 発病から初診までの症状の経過
  • 初診のころの日常生活での困りごと
  • 受診するきっかけになった出来事
  • 医師から受けた療養の指示など、受診時の様子
  • なぜその時期のことを知っているのかという経緯

例えば、「2011年頃に通院していたと思う」と書くより、「東日本大震災の直後に通院の付き添いをしたので覚えている」と書くほうが、ぐっと説得力が増します。

さらに、病院名や診療科、通院の頻度なども、思い出せる範囲で詳しく書いてもらうと、審査する側にも状況が伝わりやすくなります。

第三者証明の例文

実際の様子が伝わるエピソードとともに書くと、内容が伝わりやすくなります。

例としては、

私は当時、〇〇さんと同じ職場で働いていました。〇〇さんは腰の痛みが強く、昼休みに〇〇整形外科へ通院するため、毎週金曜日に早めに昼食を済ませていたことを覚えています。

 

このように、いつ・どこで・どんな様子だったかが具体的にわかる文章は、読み手にも状況が伝わりやすくなります。

「長男の入学式の日に、付き添いで病院へ送迎したため覚えている」のように、自分自身の思い出と結びつけて書く方法も効果的です。

「大変そうだった」という感想だけでなく、実際に見たこと・聞いたことを中心に、思い出せる範囲で書いていただければ十分です。

第三者証明の記入例

第三者証明の記入例は、以下のようになります。

第三者証明の記入例
社労士溝上裕紀
溝上社労士

第三者証明が書きづらいときには、障害年金専門の社労士がお力添えできます。ぜひお気軽に当事務所にお問い合わせください。

障害年金の第三者証明を頼まれたときの対応方法

第三者証明は、頼む側だけでなく、頼まれた側も「責任を負うのでは」「記憶が曖昧でも書いてよいのか」と不安に感じやすい手続きです。

知っておいてほしいこと

第三者証明を頼まれた場合は、覚えている事実を正直に書くことが何より大切です。「すべて正確に覚えていないと書けないのでは」と思う方も多いのですが、その必要はありません。

たとえば、次のような内容も立派な情報になります。

  • 病院へ付き添った
  • 体調不良で休職していたと知っている
  • 本人から通院していると聞いていた

第三者証明は、あくまで事実を確認するための書類であり、保証人になるような制度ではありません。証明を頼まれた場合も、過度に身構えず、知っていることをそのまま書いていただければ大丈夫です。

記憶が曖昧なときの書き方

記憶が曖昧な場合は、思い出せる範囲の内容を正確に書くことが大切です。
古い出来事ですから、正確な年月日を覚えていないのは珍しいことではありません。話を作ったり推測で補ったりする必要はなく、次のような表現で十分です。

  • 「〇年頃だったと思う」
  • 「高校生の頃」
  • 「子どもが小学校に入学した時期」

本当に問題になるのは記憶があいまいなことではなく、事実と異なることをわざと書くことです。わからないことは「わからない」とし、覚えている事実だけを誠実に書きましょう。

第三者証明を依頼するときの伝え方

第三者証明を依頼するときは、制度の趣旨を丁寧に説明することが大切です。

長く連絡を取っていなかった相手にいきなり「証明書を書いてほしい」と頼むと、相手も戸惑ってしまいます。次のような流れで伝えるとよいでしょう。

  1. 初診日を証明する必要があることを説明する
  2. 「覚えている範囲で構わない」「事実だけ書いてほしい」と伝え、相手の負担を減らす
  3. 年金事務所から確認の連絡が入る可能性があることも伝えておく

第三者証明の作成に協力してもらえたときは、障害年金申請の手続きが終わったあとに感謝の気持ちを伝えることも忘れないでください。

第三者証明が書ける人がいない場合の対処法

第三者証明をお願いできる人が見つからない場合は、客観的な資料を集めることを優先しましょう。身の回りに、診察券、お薬手帳、処方箋、医療費の領収書などが残っていないか確認してみてください。

ひとつでも見つかれば、初診日を推認する材料になります。
手元に何も残っていなくても、健康保険組合に申請すればレセプトを取得できる場合がありますし、勤務先の健康診断の結果が役立つこともあります。

また、初診の病院から転院している場合は、転院先にカルテが残っていないかを確認してみましょう。
当時の記録が残っていれば、転院先で「受診状況等証明書」を書いてもらえる可能性があり、その場合は第三者証明がなくても初診日を証明できます。

社労士溝上裕紀
溝上社労士

初診日の特定が難しいと感じたときは、一人で抱え込まず、見つかった資料を持って一度社労士に相談してみることをおすすめします。第三者証明が難しい場合でも、ほかの方法で道が開けることは少なくありません。

社会的治癒を検討するケース

過去に症状が一度落ち着いていた時期がある場合は、「社会的治癒」という考え方が使える可能性があります。

社会的治癒とは、症状が安定し、長期間にわたって普通の社会生活を送っていた状態を指します。

これが認められると、その後再び症状が悪化して受診した日を、新たな初診日として扱えるケースがあります。ただし、「数年通院していなかった」というだけでは認められず、就労状況や日常生活の様子など、複数の観点から判断されるのが実情です。

第三者証明がどうしても用意できず、過去に長い間支障なく過ごせていた時期がある場合は、社会的治癒が成立するかどうかを社労士に相談することをおすすします。

障害年金の第三者証明に関するよくある質問

Q. 第三者証明は何人必要ですか? 

一般的には2名以上の第三者による申立てが求められます。ただし、初診当時の医師や看護師など医療従事者が証明する場合は、1名のみで認められることがあります。

Q. 第三者証明は友人だけでも認められますか? 

友人による証明も認められます。ただし内容の具体性や信頼性が重要になるため、できるだけ詳しいエピソードや客観的資料をあわせて提出することが望ましいでしょう。

Q. 第三者証明の書式はどこで入手できますか? 

年金事務所の窓口のほか、日本年金機構のウェブサイト 初診日に関する第三者からの申立書を提出するとき からダウンロードできます。

Q. 提出後に確認の電話が来ることはありますか? 

ケースによっては、日本年金機構や年金事務所から申立人へ内容確認の連絡が入ることがあります。確認の電話があった場合は、事実に基づいた内容を話しましょう。

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