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適応障害で障害年金はもらえる?受給のポイントと申請のコツを社労士が解説

「適応障害と診断され、仕事ができなくて困っている」「適応障害でも障害年金はもらえるのだろうか」と不安に感じていませんか? 

結論からお伝えすると、適応障害は「原則」として障害年金の対象外です。しかし、うつ病などを併発している場合や、精神病と同程度の重い症状がある場合などは、受給できる可能性があります。

この記事では、障害年金申請を専門に扱う社労士が、適応障害で受給するための重要ポイントや申請のコツをわかりやすく解説します。 

この記事でわかること
  • 適応障害で障害年金を受給できる3つの「例外条件」
  • 申請時に押さえるべき重要なポイント
  • 障害年金の金額の目安と申請の流れ

 

適応障害で障害年金は受給できる?知っておきたい「例外条件」

 

適応障害という病名だけでは、残念ながら障害年金を受け取ることは難しいです。
しかし、以下のいずれかに当てはまる場合は、審査の対象となり、受給できるチャンスがあります。

  1. うつ病などの他の精神疾患を併発している場合
  2. 「精神病の病態」を示していると医師が判断した場合
  3. 症状が1年以上続いており、日常生活に大きな支障がある場合

順番にみていきましょう。

うつ病などの他の精神疾患を併発している場合

適応障害に加えて、うつ病や双極性障害などの診断も受けている場合は、障害年金の受給対象となる可能性があります。

適応障害は、単独では障害年金の対象外ですが、症状が長引く中でうつ病や双極性障害(いわゆる躁うつ病)といった別の精神疾患も診断されているケースでは、話が変わります。

この場合、障害年金の審査では「適応障害」という診断名だけでなく、併発している疾患の状態も含めて総合的に判断されます。

例えば、次のような状況が当てはまる方は、一度確認してみることをおすすめします。

  • 適応障害と診断された後、うつ病と診断された
  • 気分の波が激しく、双極性障害と併せて治療を受けている
  • 複数の精神科・心療内科に通院し診断を受けた経験がある

大切なのは、診断書にすべての病名と症状がきちんと記載されているかという点です。

思い当たる方は、主治医に相談してみましょう。

「精神病の病態」を示していると医師が判断した場合

適応障害であっても、症状が非常に重く、医師が「精神病と同様の状態にある」と判断した場合は、障害年金の対象となる可能性があります。

適応障害の症状が重く、統合失調症やうつ病と同程度の状態がみられる場合は、症状の実態を主治医にしっかり伝え、診断書に反映してもらうことが大切です。

具体的には、以下のような状態が該当することが多いです。

  • 現実の認識が難しくなるほど、思考や感情が乱れている
  • 日常的な会話や行動が困難なレベルまで症状が進んでいる
  • 統合失調症やうつ病に匹敵するほど、生活全般に支障が出ている

ここで重要なのは、この判断はあくまで医師が行うものという点です。患者さん本人やご家族が「重症だ」と感じていても、それが診断書に反映されていなければ、障害年金の審査官には伝わりません。

症状が1年以上続いており、日常生活に大きな支障がある場合

適応障害の症状が長期間改善せず、日常生活や仕事に大きな支障が出ている場合は、障害年金を受け取れる可能性があります。

適応障害は「環境が変われば回復する」とみなされやすい疾患です。しかし実際には、症状が1年以上続き、働くこともままならない状態が続いている方も少なくありません。

以下のような状況が当てはまる方は、あきらめずに確認してみてください。

  • 発症から1年以上経つが、症状が改善しない
  • 外出や家事など、日常的なことが思うようにできない
  • 仕事への復帰がまったく見通せない状態が続いている

病名が「適応障害」であっても、実際の症状の重さや生活への影響が審査の判断材料になります。診断名だけで受給をあきらめる必要はありません。

社労士溝上裕紀

溝上社労士

適応障害であっても症状や生活の実態に応じて、障害年金受給の道が開かれています。

障害年金の対象に「適応障害」が原則として含まれない理由

適応障害が障害年金の対象外とされているのは、「原因がなくなれば回復できる病気」と国が判断しているためです。

仕事も手につかないほどつらい症状が続いているのに、なぜ対象外なのか——そう感じる方も多いと思います。
その背景には、国の2つの考え方があります。

理由内容
回復できると見なされている職場や人間関係などストレスの原因がなくなれば、およそ6か月以内に回復するとされている
支援が回復意欲を下げる懸念経済的なサポートが、社会復帰への意欲を損なう可能性があるという、過去の考え方に基づいている

しかし現実には、原因を取り除いても症状が改善せず、重症化してしまう方も少なくありません。

そのため、適応障害でも一定の条件を満たせば障害年金を受給できる「例外規定」が設けられています。

適応障害で障害年金を受給するための重要な3つのポイント

適応障害で障害年金を申請する際、特に意識すべきポイントは以下の3点です。

  1. 診断書の「備考欄」に病態を詳しく書いてもらう
  2. 「日常生活の困難さ」を正しく伝える
  3. 初診日を正確に特定する

順番に解説します。

診断書の「備考欄」に病態を詳しく書いてもらう

適応障害で障害年金を申請する場合、診断書の備考欄に症状や病態を具体的に記載してもらうことが重要です。

障害年金では、適応障害などの神経症圏(ICD-10のF4)は、病名だけでは認定対象として扱われない場合があります。しかし、日本年金機構が公開している診断書(精神の障害用)の記入上の注意には、次のような注意書きがあります。

「障害の原因となった傷病名」欄に神経症圏(F4)の傷病名を記入した場合で、『統合失調症』または『気分(感情)障害』の病態を示しているときは、『備考』欄にその旨と、示している病態のICD-10コードを記入してください。」

精神の診断書(ICD-10コード記入欄)
出典:診断書(精神の障害用)一部抜粋|日本年金機構

上図は、精神の診断書で「ICD-10コード」を書く欄を抜粋したものです。

つまり、病名が適応障害であっても、重い抑うつ状態や意欲低下など、うつ病に相当する病態がみられる場合は、その内容を備考欄に記載することが求められています。

以下は、精神の診断書の備考欄を抜粋したものです。

精神の診断書(備考欄)
出典:診断書(精神の障害用)一部抜粋|日本年金機構

備考欄に記載される内容の例としては、次のようなものがあります。

  • 著しい抑うつ状態が続いている
  • 意欲低下により日常生活に大きな支障がある
  • 外出や対人交流が困難な状態にある など

障害年金の審査では、病名だけでなく、実際の症状や日常生活への支障の程度が重視されます。
適応障害で申請する場合も、病態や生活上の支障が診断書に具体的に記載されていることが重要なポイントです。

【参考】ICD-10とは?

ICD-10とは、世界保健機関(WHO)が定めた病気の国際的な分類コードです。医師が診断書を作成する際に使用するもので、病気ごとにアルファベットと数字の組み合わせが割り当てられています。

精神疾患は「Fコード」で分類されており、例えば、

  • F32:うつ病(うつ病エピソード)
  • F31:双極性障害
  • F20:統合失調症
  • F60:パーソナリティ障害

などがあります。

障害年金では、診断書に記載された病名や病態を確認する際の参考情報としてICD-10コードが用いられます。

適応障害などの神経症圏(F4)の病名であっても、実際にはうつ病などの病態を示している場合には、その旨や該当するICD-10コードが診断書の備考欄に記載されることがあります。

参考:ICD-10(国際疾病分類)|厚生労働省

「日常生活の困難さ」を正しく伝える

障害年金の審査では、「働けるかどうか」だけでなく、「一人で普通に生活できるか」が重要な判断基準になります。

適応障害での申請では、日常生活の状況を医師に正確に伝え、診断書に反映してもらうことが欠かせません。審査で確認される主なポイントは以下の通りです。

  • 食事や入浴が十分にできているか
  • 買い物や他者とのやり取りに支障はないか
  • 薬の管理を自分でできているか など

「なんとかできている」と伝えてしまうと、実態より軽く評価されるリスクがあります。つらいときの状態を、正直に・具体的に伝えることが大切です。

また、診断書だけでは伝わりきらない部分は、「病歴・就労状況等申立書」を活用しましょう。家族からのサポートが必要な状況や、日常のこまかな困りごとを病歴・就労状況等申立書に記載することで、審査担当者に実態をより正確に伝えられます。

社労士溝上裕紀
溝上社労士

適応障害の「見えづらいつらさ」を書類でしっかり伝えることが、障害年金受給への大きな一歩となります。

適応障害の「見えづらいつらさ」を書類でしっかり伝えることが、障害年金受給への大きな一歩となります。

障害年金申請の重要書類である「診断書」や「病歴・就労状況等申立書」の詳細は、関連記事をご一読ください。

障害年金の審査は診断書で決まる?知っておきたい注意点と社労士のサポート

病歴・就労状況等申立書の書き方のコツは5つ!障害年金の重要書類で失敗しないためのポイント

動画で知りたい方は、こちらをご覧ください。

初診日を正確に特定する

障害年金の請求では、初診日を正しく確認することが重要です。

MEMO
障害年金では、障害の原因となった病気やけがで初めて医療機関を受診した日を「初診日」といいます。

適応障害で障害年金を申請する場合も、初診日によって、受給できる年金の種類(障害基礎年金か障害厚生年金か)や加入要件が変わるため、慎重に確認する必要があります。

特に注意したいのは、精神科を受診した日が必ずしも初診日とは限らないことです。

  • 不眠が続いて内科を受診した
  • 動悸や体調不良でかかりつけ医に相談した
  • 強いストレス症状で一般病院を受診した

このような他科への受診が、後に適応障害と診断された症状につながっている場合は、他科での最初の受診日が初診日として扱われることがあります。

「精神科への受診が遅かったから初診日が遅くなってしまった」と思い込まず、最初に体の異変を感じて受診したのがいつかを、過去の領収書やお薬手帳などで確認しましょう。 

障害年金の初診日は独特の捉え方をしているため、特定が難しいです。詳しくは、障害年金の初診日とは?カルテがないときの対処法もご紹介!で解説しています。

動画でもわかりやすく解説しているので、ぜひご覧ください。

適応障害での障害年金申請の流れ

適応障害で障害年金を申請する際は、大きく4つのステップで進みます。まずは全体の流れを把握しておきましょう。

ステップ内容と注意点
①初診日の確認最初に受診した病院で「受診状況等証明書」を取得します。
 精神科の前に内科などを受診していた場合、そちらが初診日になることがあります。
②診断書の作成主治医に障害年金専用の診断書を作成してもらいます。  病名だけでなく、備考欄に具体的な病態を記載してもらうことが重要です。
③書類の準備・提出「病歴・就労状況等申立書」などを揃え、年金事務所または市区町村の窓口へ提出します。
  日常生活の困難さは、申立書でしっかり補足しましょう。
④審査結果の通知提出から結果が出るまで、3か月から半年、場合によってはそれ以上かかることもあります。

障害年金の申請の流れや必要書類は、以下の関連記事で詳しくお伝えしています。

障害年金の手続きの流れを徹底解説!申請から受給までの7ステップ
障害年金の必要書類一覧!ケース別でわかりやすくご紹介

障害年金の必要書類は、動画でもわかりやすく解説しているのでぜひご覧ください。

適応障害で障害年金はいくらもらえる?

障害年金でもらえる金額は、初診日に加入していた年金の種類と認定された等級によって異なります。目安としては、月額約5万円〜8万円以上となるケースが多いです。 

 障害基礎年金(初診日に自営業・主婦・学生などだった方)

障害基礎年金は1級と2級のみで、3級はありません。

  • 1級:1,059,125円/年(月額 88,260円)
  • 2級:847,300円/年(月額 70,608円)


※お子さんがいる場合は、人数に応じてさらに金額が加算

障害厚生年金(初診日に会社員や公務員だった方)

1級・2級の場合は「障害基礎年金」に「厚生年金の報酬比例分」が上乗せされます。また、厚生年金には3級があるのが大きな特徴です。

  • 1級・2級:基礎年金 + 厚生年金(これまでの給与額や加入期間で変動)
  • 3級:最低でも635,500万円/年(月額 52,958円)


※配偶者がいる場合は、1級・2級に限り加給年金がプラスされることがある

適応障害で症状がありながらも働いている方の場合、「3級」に認定されるケースがあります。厚生年金加入の方は、障害基礎年金にはない3級の受給資格があるため、受給の可能性が広がります。 

【参考】令和8年度の年金額

障害の程度障害基礎年金障害厚生年金
1級1,059,125円+子の加算額報酬比例の年金額×1.25
※配偶者の加算あり
2級847,300円 +子の加算額報酬比例の年金額
※配偶者の加算あり
3級なし報酬比例の年金額
※最低保証額635,500円
障害手当金なし報酬比例の年金額×2
※支給は一度のみ

加算の有無は病名ではなく、扶養する家族がいるかどうかで決まります。 

障害年金の受給額の詳細や障害年金制度については、関連記事をご一読ください。

障害年金でもらえる金額は?精神疾患だと年金額は変わる?社労士が解説!

障害年金とは?何歳から請求できる?社労士がわかりやすく解説

動画でも解説していますので、ぜひご覧ください。

適応障害での障害年金を確実に進めるには

適応障害での障害年金申請は、障害年金を専門とする社会保険労務士(社労士)に相談することをおすすめします。

適応障害での申請は、通常の精神疾患よりも審査のハードルが高く、一人で進めるのが難しいケースが多いです。

社労士に依頼することで、以下のようなサポートを受けられます。

  • 受給資格の事前確認
    障害年金を受給できる可能性があるか、申請前に確認します。

  • 診断書の作成をサポート
    どのような内容を医師に伝えるべきか、具体的なアドバイスをします。

  • 病歴・就労状況等申立書の作成を代行
    日常生活のつらさや生活への支障を、審査に伝わりやすい形で書類にまとめます。

適応障害での障害年金申請は、書類の準備や内容が特に重要になります。不安な点は一人で抱え込まず、専門家に相談することで、申請の方向性が整理されます。

まずは障害年金を専門とする社労士に、お気軽にご相談ください。

信頼できる社労士の選び方は、以下の記事で詳しく解説しています。

害年金(精神)の社労士選びで迷ったら|後悔しないためのチェックポイントとメリット

動画でもお伝えしていますので、興味のある方はぜひご覧ください。

障害年金の申請でお困りのときは、ゆうき事務所へ

社会保険労務士法人ゆうき事務所(大阪障害年金サポートデスク)は、発達障害やうつ病などのメンタル疾患に特化した障害年金専門の社労士事務所です。

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