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COLUMN

【うつ病で休職を考える方へ】手当や給料はどうなる?過ごし方は?障害年金もご紹介

うつ病は、近年増加傾向にある精神疾患の一つで、多くの方が休職を余儀なくされています。仕事や生活への不安に加え、経済的な問題も深刻な悩みとなるでしょう。

この記事では、うつ病で休職を考えている方や休職中の方に向けて、休職中に受けられる手当金や給与の変化、休職期間の過ごし方などを中心にわかりやすく解説します。

経済的な不安を減らせる障害年金についてもご紹介するので、最後まで読んで参考にしてください。

目次

うつ病で休職する際の判断基準

うつ病になると、気分が落ち込み、無気力になるだけでなく、頭痛やめまいなどの身体症状もあり、仕事に支障をきたすことがあります。

次のようなことがある場合、休職を検討してみましょう。

  • 仕事のパフォーマンスが著しく低下する
  • 欠勤や遅刻が頻繁になる
  • 家族や同僚から心配される
  • 本人が辛いと感じる

自分では辛さを感じていなくても、家族や同僚、友人が「普段の様子とは違う」と気づいて休養するようにすすめることも少なくありません。
また、主治医から休養をすすめられて、初めて休職について考えるケースもあるようです。

周囲から休職をすすめられた際には、ゆっくり休養し、うつ病の療養を最優先に過ごすことも視野に入れてみましょう。

うつ病で休職する前に準備しておくこと

うつ病で休職するまでの間に事前に準備しておくことを2つご紹介します。

順番にわかりやすく解説します。

休職制度について確認する

休職制度は、法律で定められた制度ではなく、会社がそれぞれ独自に策定しているものです。

休職を希望する場合、自分の勤めている会社に休職制度はあるのか、休職制度がある場合は自分は休職制度を利用できる対象者なのかを確認しましょう。

休職制度がある会社では、休職する前に診断書の提出を求められることが多いです。

診断書の作成に1週間以上かかる医療機関もあります。

早めに休職したい場合は、早急に医療機関へ受診することが必要です。

また、復職する際に条件があるのか、どのような流れで進むのかも合わせて確認しましょう。

休職制度の詳細は、就業規則で確認できます。

さらに詳しく知りたいことや、疑問点などがあれば、人事担当者へ問い合わせましょう。

忘れずに確認すべき点は、以下のとおりです。

順番にくわしくご紹介します。

【休職できる期間はどのくらいか】

休職できる期間は、会社によって違います。

休職の理由や勤務年数で休職できる期間に差があったり、正社員と契約社員では、期間が異なったりすることもあるので、注意が必要です。

また、重度のうつ病の場合、医師から1年以上の休職をすすめられることもあります。

規定の休職期間を超えて休職が必要とされる場合は、人事担当者や上司と相談のうえ休職期間が決まることが多いです。

【給与やボーナス、手当の支払いはあるのか】

休職期間の給与は、満額支払いとなることはほとんどなく、無給となる会社が多いです。

ボーナスについては、就業規則や賃金規定で定められていたら、支払われます。

しかし、ボーナスは査定期間中の仕事の成果により支払われるものなので、休職していたら無給になることもあります。

また、休職期間中でも、健康保険と厚生年金は継続しているので、社会保険料の支払いがあることにも注意が必要です。

休職期間に給与の支払いがない会社では、社会保険料の給与天引きができません。

この場合、会社が立て替えて支払いをし、復職後に天引きするなどの方法を取ることが多いです。

社会保険料の支払方法については、就業規則等で確認したり、人事担当者へ問い合わせましょう。

なお、休職中には、健康保険から「傷病手当金」の支給を受けられることがあります。

また、受給要件を満たせば「障害年金」も受給できるため、療養中の経済的な不安を軽くできます。

傷病手当金と障害年金は、のちほどご紹介します。

【休職期間の連絡体制をどうするか】

休職に入る前に、今後の連絡手段や頻度等を決めておきましょう。

うつ病で休職する場合、日々のストレスから離れてゆっくり休養することが大切なので、会社側からの連絡を控えることがあります。

しかし、休職期間中でも、現在の状況の報告や復職の相談など、ある程度会社と連絡をとることは必要です。

この場合、誰にどんな手段で連絡するか、連絡の頻度はどのくらいにするかを事前に決めておくことで、スムーズな連絡体制を作れます。

連絡体制を作る際に注意したい点は、以下のようなことです。

決めること配慮することなど
連絡の頻度を決めておく月に1回、2週間に1回など、連絡するのに無理がない期間を設定する
負担にならない連絡手段を選ぶメールやチャット、電話等、療養する人が楽に連絡できる手段を取る
連絡する人は1人にする複数の人に連絡することはストレスになるので、窓口になる人を1人決めておく

心身に負荷をかけずに連絡できるように、会社と相談しておきましょう。

傷病手当金を理解する

傷病手当金とは、健康保険の被保険者が業務外の傷病の療養のために会社を休み、その間に会社から給与の支払いがないときに請求できる手当金で、休職手当のような役割を持っています。

休職中の被保険者やその家族の生活を経済的に支える制度なので、よく理解しておくことが大切です。

次章で、障害手当金を詳しく解説します。

うつ病で休職したら、傷病手当金を申請しよう

傷病手当金の受給要件や支給額などをみていきましょう。

傷病手当金の4つの受給要件

傷病手当金を受けるには、次の4つの条件を満たすことが必要です。

それぞれの条件の詳細をご紹介します。

【業務外の病気やけがで会社を休む】

傷病手当金は、業務外の病気やけがで療養し、会社を休んでいるときに支給されるものです。

うつ病の発症の原因が業務上にある場合は、労災の支給対象となります。

あらかじめ、うつ病の原因が業務上にあたるかを、会社や健康保険組合等に確認しましょう。

【働けない状態である】

「働けない」とは、うつ病の療養のために今までできた仕事ができない状態です。

働けないかは、自己判断ではなく、健康保険組合等が医師の意見をもとに、請求者の仕事内容を考慮しながら判断します。

【連続する3日間を含み4日以上仕事ができない】

傷病手当金は、療養のため仕事を休んだ日が3日以上続いた場合に、4日目から支給されます。

仕事を連続して休んだ3日間を「待機期間」といい、待機期間が完成しないと傷病手当金は受け取れません。

なお、待機の3日間には、土日祝日、有給休暇もカウントします。

【休業期間中に会社から給与の支払いがない】

仕事を休んでいる期間中に、給与の支払いが行われている場合は、傷病手当金は支給されません。

ただし、給与の支払いがあっても傷病手当金の支給金額よりも少ない場合は、その差額分を受け取れます。

参考:傷病手当金|協会けんぽ

傷病手当金の支給額は?

傷病手当金の支給額は、おおよそ給与の3分の2に相当する額です。

具体的な計算式は次のようになります。

傷病手当金の1日あたりの支給金額

直近12ヶ月の標準報酬月額を平均した額 ÷ 30日 × 2/3

なお、健康保険の加入期間が1年に満たない場合は、以下の2つのうち少ない方の金額で傷病手当金の支給額を計算します。

健康保険の加入期間が1年に満たない場合
  1. 支給開始日に属する月以前の継続した各月の標準報酬月額の平均
  2. 標準報酬月額の平均額
    30万円※(支給開始日が平成31年4月1日以降の方)
    ※当該年度の前年度9月30日における全被保険者の同月の標準報酬月額を平均した額

出典:病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金)|協会けんぽ

傷病手当金が受けられる期間

傷病手当金は、支給開始から通算して1年6か月受け取れます。

下図は、傷病手当金の支給例を示したものです。

傷病手当金の支給期間の図解

出典:令和4年1月1日から健康保険の傷病手当金の支給期間が通算化されます|厚生労働省

傷病手当金の支給開始後に出勤した期間は不支給ですが、再び療養のために仕事を休んだ場合は、欠勤した期間を合わせて1年6か月まで支給されます。

つまり、「うつ病で休職後、復職したが再発してまた休職する」という場合でも、1年6か月に復職した期間はカウントされず、2回目の休職期間に残りの期間分の傷病手当金を受け取れるということです。

傷病手当金の申請の流れ

傷病手当金は、休職してから申請します。

具体的な流れは、以下のとおりです。

 
傷病手当金の申請書を準備して、「被保険者用」に記載する
 
 
 
医師に「療養担当者記入用」ページを記載してもらう
 
 
 
会社に「事業主用」ページを記入してもらう
 
 
 
会社が加入している健康保険組合に申請書を提出
 
 

協会けんぽの場合は、申請書を受付後2週間程度で支給が始まります。

健康保険組合の場合は、2~3か月ほどかかることもあるようです。いつ頃支給されるか知りたい人は、加入している健康保険組合に確認しましょう。

なお、休職期間が長期にわたる場合は、1か月ごとに申請することをおすすめします。

協会けんぽの申請書は、健康保険傷病手当金支給申請書|協会けんぽでダウンロードできます。

健康保険組合に加入している人は、会社の人事担当者や自分の加入している健康保険組合にお問い合わせください。

参考:傷病手当金について(制度説明)3ページ|協会けんぽ岩手支部

うつ病で休職中の過ごし方

うつ病で休職する際は、ゆっくり休養し、心と体をいたわることを最優先で過ごしましょう。

少し元気が出てきたら、以下のようなことを念頭において生活することをおすすめします。

生活リズムを整える

規則正しい生活は、体内時計を正常化させて、精神の安定につながります。

体内時計を整えるには、十分な睡眠時間をとり、毎日同じ時間に起床することが大切です。

昼間、散歩やラジオ体操など適度な運動をすると、軽い疲労感を感じて、寝つきが良くなります。

運動すると爽快感を感じたり、気持ちが明るくなったりすることも知られているので、体調のいい日は外に出て、体を動かすことがおすすめです。

バランスのとれた食事をとったり、リラックスする時間を取り入れながら、生活リズムを整えて、心穏やかに過ごしましょう。

社会とのつながりを維持する

心と体を十分に休めて体調が良くなってきたら、気の合う友人や家族と過ごし、社会とのつながりを持ちましょう。

休職中は自宅で過ごす時間が増えて、人との交流が少なくなります。

趣味のある人は同じ趣味を持つ人と交流したり、地域のボランティア活動に参加したりするなどして、社会とつながり、孤独や不安を減らしましょう。

うつ病で休職すると障害年金が受けられる?

障害年金は、体に障害があるときにもらえるものと思われがちですが、うつ病でも支給されます。

この章では、障害年金について解説します。

障害年金とは

障害年金は、現役世代の人が病気やけがで障害を負ったときに請求できる年金保険で、うつ病などの精神疾患も支給対象です。

障害年金は、初診日に加入していた年金制度により請求できる年金が変わります。

MEMO

 初診日とは、障害の原因となった傷病で初めて医療機関を受診した日

下表で、初診日と障害年金の種類の関係を示します。

初診日に加入していた年金請求できる年金障害等級など
国民年金障害基礎年金1級、2級
厚生年金障害厚生年金1級、2級、3級
障害手当金

障害年金の制度については、障害年金とは?何歳から請求できる?社労士がわかりやすく解説で詳しくご紹介していますので、ご覧ください。

障害年金は3つの受給要件を満たすと受給できます。

  • 初診日要件    初診日に年金制度に加入していること
  • 保険料納付要件  保険料を一定期間納付していること
  • 障害状態該当要件 一定の障害状態にあること

障害年金の受給要件の詳細は、障害年金の3つの受給条件とは?年齢は関係ある?わかりやすく解説!をご覧ください。

障害年金の支給額は、障害年金でもらえる金額は?精神疾患だと年金額は変わる?社労士が解説!で詳しく解説しています。興味のある方は、ぜひご一読ください。

うつ病で障害年金を受けるポイント

うつ病の障害年金を請求する際は、診断書等に生活や仕事での困りごとや支援を受けている内容を正しく反映することがとても大事です。

障害年金は、すべて書類で審査が行われるため、自分の生活やうつ病の病状、障害の状態を正しく記載した書類を用意することが求められます。

しかし、うつ病は、視力や聴力の障害のように検査で障害の程度が測れません。

そのため、診断書や病歴・就労状況等確認書に記載された障害の状態や、仕事や生活上の困りごとが重要視されます。

病歴・就労状況等申立書等で、審査する人に正確かつ客観的に障害の状態等を伝えることが大切です。

障害年金の書類作成に不安のあるときは、障害年金専門の社労士がお力になれます。

うつ病で障害年金を受給できた事例

ゆうき事務所にうつ病で障害年金の申請代行をご依頼いただき、受給できた事例を2つご紹介します。

うつ病で障害厚生年金3級(年間約60万円)を受給

  • ご相談者 40代 男性
  • 認定結果 障害厚生年金 3級
  • 年間 約60万円 遡及分として約30万円

【ご相談者様の状況】

職場での人間関係の悪化により、うつ病を発症しました。

気分が悪く、常に耳鳴りと頭痛に悩まされていたところ、仕事に行けなくなり休職を開始されたそうです。

弊所の障害年金セミナーで障害年金の制度を知り、お問い合わせいただきました。

【相談から障害年金請求までのサポート内容】

主治医が書いた診断書の内容を見ると、障害等級3級にも満たない可能性があり、ご相談者様もとても心配されていました。

さらに丁寧にヒアリングを進めていくと、わかったのは次のようなことです。

  • 耳鳴りと頭痛が常にあって、睡眠障害が起きている
  • 主治医から入院をすすめられたことがある

このような日常生活での困りごと等を、病歴・就労状況等申立書に詳しく記載して申請しました。

【審査の結果】

障害厚生年金3級(約60万円)と遡及分(約30万円)が認められました。

うつ病で障害厚生年金3級(年間約100万円)を受給

  • ご相談者 60代 男性
  • 認定結果 障害厚生年金 3級
  • 支給額  年間 約100万円 遡及分として約440万円

【ご相談者様の状況】

持病の悪化と高齢の母の介護のストレスが重なり、6年前にうつ病を発症しました。

現在は、無理をして会社に行っている状態で、精神的に辛く退職するか迷っているところに、弊所にご相談いただきました。

【相談から障害年金請求までのサポート内容】

ご相談者様の現状を伺い、弊所の社労士が立てた方針は、「うつ病の初診日が6年前なので、遡及請求を目指す」です。

障害認定日時点では一般雇用で働いていましたが、丁寧にヒアリングを進めていくと次のようなことがわかりました。

  • 管理職から一般職へ降格した
  • 休職や早退が度々ある
  • 食事の準備、部屋の掃除、金銭管理などは、同居の奥様が全面的にサポート

うつ病により、仕事や日常生活への影響がかなり出ていることや、周囲のサポート内容などを病歴就労状況等申立書に詳しく記載し、主治医の作成する診断書にも反映していただきました。

【審査の結果】

障害厚生年金3級(約100万円)と遡及分(約440万円)が認められました。

社労士溝上裕紀
溝上社労士

ゆうき事務所では、丁寧にヒアリングを行い、書類作成に反映しています。
うつ病での申請代行の経験も豊富にありますので、障害年金でお困りのときには、お気軽にご相談ください。

 

まとめ

うつ病で休職を希望する際には、自分の勤めている会社に休職制度があるかをまず確認しましょう。

休職制度がある場合、休職期間や給与等を事前に確認し、休職期間は心と体を休めることを最優先に過ごします。

休職期間の経済的な支えとしては健康保険から支給される傷病手当金があります。

そのほかにも、うつ病で障害年金が受け取れることもあるので、障害年金専門の社労士に相談してみましょう。