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COLUMN

障害年金は『どの種類のうつ病』でも対象?申請の注意点を徹底解説

うつ病からくる症状により、生活の困難さや仕事上での支障を抱えている方にとって、「障害年金」は経済的支援を受けられる大切な制度です。

しかし、どの種類のうつ病が支給対象になるのかや、申請時に注意すべきポイントについては、意外と知られていないことも多いのではないでしょうか。

この記事では、障害年金の対象となるうつ病の種類や、申請条件、さらに申請時の注意点までをわかりやすく解説します。

ご自身やご家族が障害年金の申請を検討していたら、ぜひ最後までお読みください。

この記事を読むことで、うつ病と障害年金についての理解を深め、ご自身やまわりの方の生活を支える一助となれば幸いです。

うつ病はどの種類でも障害年金の支給対象になるの?

結論からお知らせすると、どの種類のうつ病でも障害年金の支給対象です。

障害年金は、病気やけがにより障害を負い、生活や仕事に支障があるときに支給される制度で、老齢年金や遺族年金と同じく国が運営しています。

「障害年金」というと、身体に障害があるケースを思い浮かべる人が多いですが、うつ病や発達障害などの精神疾患でも支給されます。

障害年金の詳細は、障害年金とは?何歳から請求できる?社労士がわかりやすく解説でご紹介していますのでぜひご一読ください。

障害年金の支給対象となる主なうつ病の種類

うつ病は、発症の特徴によって「メランコリー型」「非定型」「季節型」「産後」などに分類されます。

下記の表は、うつ病の主な類型の特徴をまとめたものです。

類型症状など
メランコリー型・典型的なうつ病と言われることが多い
・良いことがあっても気分が晴れない
・食欲不振、体重減少、早朝覚醒、過度な罪悪感がある
非定型・良いことで気分が上がる
・食欲過多で体重増加
・過眠や倦怠感
・人からの非難に敏感になる
季節型・特定の季節に発症し、季節変化で回復
・冬季うつがよく知られている
産後うつ・産後4週内に発症
・ホルモン変化、出産による疲労、育児不安、睡眠不足が原因と見られる

このほかにも、仮面うつや新型うつ病などと呼ばれているものでも生活上での困難や支障があれば、障害年金を受給できる可能性があります。

MEMO

障害年金は、「うつ病の種類」や「病名」「診断名」で支給が決定するものではなく、うつ病からくる症状でどのくらい日常生活に支障をきたすかで判定されます。

参考:1 うつ病とは|こころの耳(厚生労働省)

うつ病で障害年金をもらう条件は?

うつ病で障害年金をもらうには次の3つの条件をすべて満たすことが必要です。

【初診日要件】
初診日に国民年金か厚生年金に加入している
20歳前か日本在住の60歳から64歳

【保険料納付要件】
初診日の前日において、年金の保険料を一定期間納付していること※1

【障害状態要件】
障害認定日※2に障害等級表に定める1級か2級の状態にあること
(障害厚生年金は1級から3級に該当すること※3)

※1 20歳前に初診日がある場合は納付要件は問われない
※2 障害認定日とは、初診日から1年6か月経過した日のこと
※3 障害認定日には障害が軽くても、後に重くなった場合は障害厚生年金を受けられることがある

障害年金の受給条件については、障害年金の3つの受給条件とは?年齢は関係ある?わかりやすく解説!でさらに詳しくご紹介しています。

参考:障害基礎年金の受給要件|日本年金機構
参考:障害厚生年金の受給要件|日本年金機構

うつ病で障害年金を申請するときの注意点

うつ病は、血液検査等で障害の程度を測ることができず、自分の状態を客観的に示すことが難しいです。

そのため、障害年金の申請する際には「うつ病ならではの難しさ」があり、注意するべきポイントがあります。

うつ病で障害年金を申請する際に注意してほしい点を3つご紹介します。

それぞれみていきましょう。

初診日を確認する

障害年金の申請時に注意するポイントの1つ目は、「初診日を確認する」ことです。

初診日とは、障害の原因となった病気やけがで初めて医療機関で診療を受けた日を指します。

うつ病の場合、「うつ病」と診断を受けた医療機関を初めて受診した日を「初診日」だと思う人が多いのですが、障害年金で見る「初診日」とは違うことがあるので注意が必要です。

例えば、初期症状として不眠と頭痛があったうつ病の人のケースで、初診日がいつになるかを見てみましょう。

 
不眠が続いていて頭痛やめまいもあったので、かかりつけの内科を受診した
 
 
 
しばらく通院したが症状は改善せず、内科医にすすめられてメンタルクリニックに転院をした
 
 
 
転院したメンタルクリニックで「うつ病」と診断された
 

上記の場合、障害年金制度ではうつ病と診断したメンタルクリニックではなく、不眠等で内科を初めて受診した日が「初診日」となります。

つまり、精神症状で初めて医療機関を受診した日が「初診日」となるのです。

うつ病は、一度の診察で「うつ病」と診断されることはあまりありません。

多くのケースで初めに頭痛などが出ることがあり、転院を繰り返して、ようやく「うつ病の診断」を受けます。

特に療養期間の長い人は何度も転院して、「うつ病の症状が出て最初に受診した医療機関がどこだかわからない」といったケースも多いです。

初診日がわからなければ障害年金の申請はできないので、自分の病歴や通院歴を確認することはとても重要な作業だといえるでしょう。

自分の状態が正確に記載された診断書を準備する

うつ病で障害年金を受給するためには「自分の状態が正確に記載された診断書」を準備することが不可欠です。

主治医が作成する「診断書」は、障害年金の審査の際にとても重要視される書類のひとつです。

うつ病に限ったことではありませんが、日本年金機構では診断書に記載された内容をもとに障害年金の受給ができるか、障害等級は何級になるかを判定しています。

うつ病は、視力や聴力のように検査をして数値で障害の状態を測ることができないため、診断書に障害の状態や生活上での困りごとやサポート内容が正確に記載されていることが大変重要です。

そのため、主治医とは毎回の診察時に積極的にコミュニケーションを取り、普段の生活の様子を知ってもらうことが望ましいといえます。

特に、うつ病の場合は主治医から多く質問をすると患者の負担になることから、あえて診察時間を短くすることがあり、主治医と情報共有する時間が足りないケースが見られます。

MEMO

「短い診察時間に主治医と十分にコミュニケーションが取れない」と不安に思うときは、診察前に主治医に伝えたいことをメモにまとめておく方法をとるといいでしょう。

病歴・就労状況等申立書は的確に記載する

申請時に注意してほしいポイントの3つ目は、「病歴・就労状況等申立書を的確に記載する」ことです。

病歴・就労状況等申立書は、基本的に申請者が作成する書類でA3用紙の両面に記載します。

病歴・就労状況等申立書(表面)
出典:病歴・就労状況等申立書(表面)|日本年金機構

「病歴・就労状況等申立書」は、これまでの病歴や通院歴、就労状況、日常生活で困っていることなど、診断書ではわからない情報を補う役割があります。

よく見られるケースとしては、自分の辛い心情や経済的な不安などを長文で書いてしまうものです。

心情や経済状況は障害年金の審査には関係がなく、病歴・就労状況等申立書に記載しても年金の審査にプラスになることはありません。

MEMO

病歴・就労状況等申立書を作成するときには、審査をする人に伝わるように、端的にわかりやすくまとめて記載することが大切です。

また、「診断書」と「病歴・就労状況等申立書」の記載内容に食い違いが起こらないようにすることも大変重要です。

診断書の記載内容をよく確認し、整合性の取れた病歴・就労状況等申立書を作成しましょう。

病歴・就労状況等申立書の詳細は、病歴・就労状況等申立書は障害年金の重要書類!書き方や記入例もご紹介をご覧ください。

自分で障害年金の申請ができないときは社労士に相談を!

障害年金の申請が自分や家族だけでできないと感じたら、障害年金専門の社労士へ相談してみましょう。

社労士に依頼すれば、書類作成の手間や年金事務所とのやり取りなどから解放され、療養に専念したり、休養を取ることもできます。

社労士に依頼するメリットはどんなことがあるのか気になる方のために、主な利点を表にまとめました。

メリットや利点具体的な内容など
受給可能性の向上・社労士が障害の状態を正確に判断し、遡及請求を含めた最適な戦略を立案
・初診日特定が難しい場合も対応可能
書類作成の負担軽減・病歴・就労状況等申立書の作成をサポートし、診断書との整合性を確保
・不備のない申請書作成が可能
診断書依頼をサポート・診断書作成依頼の方法を熟知し、医師への依頼方法をアドバイス
・主治医が作成を拒否した場合の対処法も提案可能
年金事務所とのやり取り代行・申請後の書類返戻や問い合わせ、追加資料の対応を全て社労士が代行
安心感の提供・障害で心身が辛いときでも、専門家に依頼することで申請の不安を軽減
・スムーズな手続きを実現

社労士への依頼について費用面での不安を抱える人もいますが、障害年金の申請代行は「成功報酬制」を採用する社労士が多いです。

つまり、障害年金が不支給になったときは着手金は戻りませんが、そのほかの費用は発生しないということです。

「初回相談無料」や「着手金なし」といった社労士もいるので、経済的なリスクを最小限に抑えながら相談できます。

ゆうき事務所の特徴
  • 着手金・相談料 0円
  • オンラインで相談できる
  • 精神障害に強い

ゆうき事務所では、経験豊富な社労士が無料で障害年金の相談を承ります。
「主治医とうまくコミュニケーションが取れない」「書類が難しくて書けない」など、障害年金でお困りのときは、お気軽にお問い合わせください。

障害年金の申請代行を依頼する利点については、障害年金の申請を依頼するメリットは4つ!【社労士の選び方もわかりやすく解説】でさらに詳しくご紹介しています。

うつ病で障害年金申請|ゆうき事務所の受給事例

ゆうき事務所にご依頼いただき、障害年金を受給できた事例をご紹介します。

うつ病で障害厚生年金3級を受給(遡及請求)

  • ご相談者:60代 男性
  • 傷病名:うつ病
  • 認定結果:障害厚生年金3級
  • 支給額:年間約100万円+遡及分約440万円

【ご相談時の状況】

持病の悪化と高齢の母の介護ストレスにより、うつ病を発症しました。

ご相談時には「無理をして仕事に行っていますが、精神的に辛くて退職しようか迷っている」とのことでした。

【相談から障害年金請求までのサポート内容】

ゆうき事務所の社労士がご相談者にヒアリングしてわかったことは次のようなことです。

  • 初診日は6年前
  • 管理職から一般職へ降格した
  • 休職や早退が度々ある
  • 食事の準備、部屋の掃除、金銭管理などの日常生活全般において、同居の奥様が全面的にサポート

障害認定日(初診日から1年6か月が経過した日)時点では一般雇用で働いていましたが、実際は管理職から降格したり、休職を繰り返すなど仕事への影響がかなり出ていることがわかりました。

これらの事実を病歴就労状況等申立書に詳しく記載するとともに、主治医にも情報共有して診断書にも反映していただきました。

【審査の結果】

障害厚生年金3級(約100万円)と遡及分約440万円が認められました。

社労士溝上裕紀

溝上社労士

「障害年金がもらえることになったので、会社を退職して療養に専念できます」とのお声をいただきました。

なお、事例の中に出てきた「遡及請求」については、【最大5年分まとめて支給】障害年金の遡及請求は難しい?必要書類や受給事例もご紹介で詳しく解説しています。

うつ病で障害厚生年金3級(年間約60万円)を受給

  • ご相談者:30代 女性
  • 傷病名:うつ病
  • 認定結果:障害基礎年金 2級
  • 支給額:年間 約78万円 遡及分として約400万円

【ご相談時の状況】

うつ病を発症したのは10年以上前で、定職に就けずにアルバイトを転々としていました。

現在は、就労継続支援A型に通所されています。

貯金も徐々に底をつき、不安になっていたところ、インターネットで障害年金の存在を知り、弊所にご相談いただきました。

【相談から障害年金申請までのサポート内容】

ゆうき事務所の社労士がご相談者にヒアリングしてわかったことは次のようなことです。

  • 初診日は10年以上前
  • 就労継続支援A型には実際は週に2回ほどの通所
  • 体調が優れず、休みがちになっている

通常、医療機関でのカルテの保存は5年のため、受診状況等証明書の取得が困難となるケースを想定していました。

幸い、医療機関でまだカルテが保存されていることがわかり、受診状況等証明書を記載していただけました。

就労継続支援A型を利用しているものの、休みがちになっていることを病歴・就労状況等申立書に詳しく記載し、申請しました。

【審査の結果】

障害基礎年金級(約78万円)と遡及分(約400万円)が認められました。

社労士溝上裕紀
溝上社労士

受給決定後に、ご相談者様から「これからも生きていく力が湧いてきました」と嬉しいお言葉をいただきました。
初診日が10年以上前でも、障害年金が受給できることがあります。
諦めずに、ご相談ください。

まとめ

うつ病にはさまざまな種類があり、症状の程度も人それぞれです。

障害年金は、うつ病の種類に関わらず、日常生活や仕事に支障が出ている場合に支給される可能性があります。

ただし、障害年金を受給するためには、一定の条件を満たしている必要があり、申請には適切な準備が不可欠です。

特に、初診日の特定、正確な診断書の準備、病歴・就労状況等申立書の作成は重要なポイントとなります。

障害年金の手続きは複雑で、ご自身で行うことが難しい場合もあります。

手続きに不安がある場合は、専門家である社労士に相談し、適切なサポートを受けることをおすすめします。