更新日:2026.06.15
障害年金とは?もらえる条件ともらえない人の特徴を社労士が解説
障害年金は、病気やけがで生活に大きな支障があれば、20代・30代の現役世代でも受け取れる公的年金です。
うつ病・発達障害などの精神疾患や、がん・糖尿病などの内科系疾患も対象になります。
「自分はもらえるのだろうか」と不安を抱えている方は、まずこの記事で制度の基本を確認してみてください。
この記事でわかることは以下のとおりです。
- 障害年金とは何か(制度の基本)
- 障害年金がもらえる条件
- 障害年金の金額(令和8年度版)
- 何歳から請求できるか
- 働きながらもらえるかどうか
- もらえない人の特徴と注意点
- 精神疾患(うつ病など)の場合の注意点
一つひとつ丁寧に解説しますので、ぜひ最後まで読んで障害年金の理解にお役立てください。
目次
障害年金とは
障害年金とは、病気やけがで心身に障害が残り、生活や仕事に支障がある方に支給される公的年金です。
受け取れる障害年金の種類や金額は、病気やけがで初めて医療機関を受診した日(初診日)に加入していた年金制度によって決まります。
障害年金を正しく理解するには、公的年金の仕組みを知ることが近道です。次章で解説します。
公的年金の種類と仕組み
日本の公的年金は、国民年金と厚生年金の「2階建て」構造です。

上記の図のように、会社員・公務員の方は、国民年金と厚生年金の両方に加入しています。
なお、iDeCoや国民年金基金・企業年金は任意加入の「3階建て部分」にあたります。
加入する公的年金の種類と加入者について、下表にまとめました。
| 公的年金の種類 | 加入する人 |
|---|---|
| 国民年金(基礎年金) | 20歳から59歳までのすべての人 |
| 厚生年金 | 会社員や公務員 |
公的年金から支給される年金
一方で、支給される公的年金の種類は下記の3種類です。
| 公的年金の種類 | 内容 |
|---|---|
| 老齢年金 | 原則65歳以上になると受け取れる年金で、老後の生活保障の役割を持つ |
| 障害年金 | 病気やけがで障害が残り、生活や仕事に支障があるときに支給される年金 |
| 遺族年金 | 一家の働き手が亡くなったときに、残された遺族に支給される年金 |
年金は老後だけのものではありません。現役世代でも、障害状態になったときの生活を支える生活保障の役割も持つ制度です。
障害年金の種類
障害年金には「障害基礎年金」と「障害厚生年金」があります。
どちらを受給できるかは、初診日に加入していた年金制度で決まります。
| 初診日の加入年金 | 受給できる障害年金 | 対象者の例 |
|---|---|---|
| 国民年金 | 障害基礎年金 | 自営業者・専業主婦(夫)・学生など |
| 厚生年金 | 障害厚生年金 | 会社員・公務員など |
障害基礎年金と障害厚生年金、何が違う?
2つの障害年金は、等級の数・年金額の計算方法・加算の内容が異なります。
| 障害基礎年金 | 障害厚生年金 | |
|---|---|---|
| 等級 | 1級・2級のみ | 1級・2級・3級+障害手当金 |
| 年金額 | 定額(誰でも同じ) | 加入期間・給与により異なる |
| 加算の有無 | 子の加算あり | 配偶者加給年金額あり |
障害基礎年金と障害厚生年金の最も大きな違いは等級の範囲です。
障害基礎年金は1級・2級しかないため、3級相当の障害状態では受給できません。
一方、障害厚生年金は3級まであるため、より幅広い障害状態をカバーしています。
また、障害厚生年金の1級・2級に認定された場合は、障害基礎年金も同時に受給できます。
会社員や公務員は手厚い保障を受けられる仕組みになっているのも大きな特徴です。
初診日によって受給額が大きく変わるケースがある
障害年金は、「初診日がいつか」「どの年金に加入していたか」によって、受給できる年金の種類が変わります。具体的なケースで確認してみましょう。
- 学生時代に初診日がある場合
大学在学中(国民年金加入中)に初めて受診した場合、その後就職して会社員になっていても、受給できるのは障害基礎年金のみです。 - 転職・退職直後に初診日がある場合
会社を辞めて厚生年金を脱退した後、国民年金に切り替わった期間中に初診日がある場合は、障害基礎年金の対象となります。転職の空白期間や退職直後は特に注意が必要です。 - 会社員として勤務中に初診日がある場合
厚生年金加入中に初めて受診した場合は、障害厚生年金の対象となり、1級・2級であれば障害基礎年金も同時受給できます。
「自分の初診日がいつか」「そのとき何の年金に加入していたか」は、障害年金の受給額を左右する重要なポイントです。不明な場合は、お気軽に当事務所にご相談ください。
障害年金の初診日は、独特の考え方があり理解が難しいです。詳しくは障害年金の初診日とは?カルテがないときの対処法もご紹介!をご覧ください。
初診日の考え方については、代表社労士が動画でも解説しています。あわせてご覧ください。
障害年金の金額(令和8年度額)
障害年金の金額は、受給する年金の種類・障害の等級・加入期間や報酬によって変わります。
障害基礎年金の年金額
| 障害等級 | 年金額(年額) |
|---|---|
| 1級 | 1,059,125円+(子の加算額) |
| 2級 | 847,300円+(子の加算額) |
障害基礎年金は定額制で、等級が同じであれば誰でも同じ金額です。
子の加算額(18歳年度末までの子、または19歳までの障害のある子が対象)
- 第1子・第2子:各243,800円
- 第3子以降:各81,300円
「子の加算額」は18歳になる年度末までの子、または19歳までの障害のある子(1級·2級)がいる場合に加算されるもので、「家族手当」のような役割があります。
参考:障害基礎年金の受給要件・請求時期・年金額|日本年金機構
障害厚生年金の年金額
| 障害等級 | 年金額 |
|---|---|
| 1級 | 報酬比例の年金額×1.25 +配偶者加給年金額(243,800円) |
| 2級 | 報酬比例の年金額+配偶者加給年金額(243,800円) |
| 3級 | 報酬比例の年金額 (最低保証額:635,500円) |
| 障害手当金(一時金) | 報酬比例の年金額×2 (最低保証額:1,247,000円) |
参考:障害厚生年金の受給要件・請求時期・年金額|日本年金機構
障害厚生年金は、これまでの加入期間や給与をもとに計算するため、人によって金額が大きく異なります。勤続期間が長く、給与が高いほど年金額は多くなる仕組みです。
なお、障害厚生年金1〜3級よりも軽い障害が残った場合は、一時金として「障害手当金」が支給されます。支給は一度限りです。
ご自身の家族構成をもとに受給額をシミュレーションしたい方は、 障害年金でもらえる金額は?精神疾患だと年金額は変わる?社労士が解説!をご覧ください。
動画でも解説していますので、興味のある方はぜひご覧ください。
障害年金の等級と障害の状態
障害年金には1級から3級(障害厚生年金のみ)までの等級があり、障害の状態によって支給される年金額が異なります。
| 障害等級 | 障害状態の目安 |
|---|---|
| 1級 | 他人の介助がなければ日常生活をほとんど送れない |
| 2級 | 日常生活が困難で、就労による収入を得ることが難しい |
| 3級※ | 日常生活への支障は少ないが、就労に著しい制限がある |
| 障害手当金※ | 1〜3級に該当しないが、一定の障害が残り症状が固定している |
※3級・障害手当金は障害厚生年金のみ
障害年金の等級は、診断書と病歴・就労状況等申立書の記載内容や、申請書類の整合性などをもとに審査され、日本年金機構が最終的に決定します。
診断書は主治医のみが作成でき、審査における最重要書類です。病歴・就労状況等申立書は本人(または家族)が記載します。審査は書類のみで行われるため、提出書類の内容が審査結果を大きく左右します。
なお、精神疾患については障害認定基準に加え、審査の参考となる「精神の障害に係る等級判定ガイドライン」が設けられています。
病歴・就労状況等申立書や等級判定ガイドラインについては、関連記事でわかりやすく解説しています。
▶病歴・就労状況等申立書の書き方のコツは5つ!失敗しないためのポイント
▶等級判定ガイドラインをわかりやすく解説
ゆうき事務所代表社労士が動画でも解説していますので、ぜひご覧ください。
障害年金がもらえない人の特徴
障害年金は請求すれば必ず受給できるわけではありません。不支給になる主な理由は以下の4つです。
① 保険料の未納期間が多い(納付要件を満たしていない)
初診日の前日時点で、一定期間以上の保険料を納めていることが必要です。未納期間が多い場合、要件を満たせず審査に進むことすらできません。
② 初診日が特定できない
初診日は障害年金の受給要件を判断する基準日です。
受診した医療機関が廃院している、カルテが破棄されているなどの理由で初診日を証明できないと、申請が認められないケースがあります。
③ 障害等級に該当しない
症状が軽度と判定され、国の定める障害等級(1〜3級)に当てはまらないと判断された場合は不支給となります。
④ 初診日に年金未加入だった
初診日時点で国民年金・厚生年金のいずれにも加入していなかった場合は、原則として請求できません。ただし、20歳前に初診日がある場合は例外的に請求できます。
障害年金は何歳から請求できる?
障害年金は、原則として20歳から64歳まで請求できます。
20歳前に初診日がある場合
20歳前に初診日がある場合でも、障害年金を請求できます。
ただし、請求できるのは20歳になってからです。保険料の納付要件は問われませんが、本人の所得によって支給が制限される場合があります。
65歳以上でも請求できる3つのケース
65歳を過ぎても、以下の3つのケースに該当する場合は障害年金を請求できます。
- 障害認定日請求
- 基準障害(初めて1級・2級)請求
- 額改定請求
ただし、年齢や状況によって請求できる内容や必要書類が異なります。65歳以上で障害年金の請求をお考えの方は、お近くの年金事務所にご相談ください。
当事務所では、65歳以上の方の障害年金申請代行はお受けしておりません。ご了承ください。
参考:障害基礎年金の受給要件・請求時期・年金額|日本年金機構
参考:障害厚生年金の受給要件・請求時期・年金額|日本年金機構
障害年金はいつからもらえる?申請から振り込みまでの期間
障害年金の申請から初回振り込みまでには、おおむね4〜5か月程度かかるのが一般的です。
① 審査期間:約3〜3.5か月
日本年金機構が公開している障害年金ガイド(令和8年度版)によると、年金請求書の提出からおおむね3か月程度で年金証書が届くとされています。
初診日の証明が複雑なケースや、精神障害・複数の障害を併発しているケースでは、審査がさらに長引くことがあります。
② 年金証書の到着〜初回振り込み:約50日以内
障害年金の支給が決定すると、自宅に「年金証書(年金決定通知書)」が届きます。初回の振り込みは、年金証書が届いてからおおむね50日以内が目安です。
- 年金証書の到着が月の前半→翌月15日が初回振込日
- 年金証書の到着が月の後半→翌々月15日が初回振込日
なお、15日が金融機関の休業日にあたる場合は、その直前の営業日に振り込まれます。
2回目以降は偶数月15日にまとめて2か月分支給されます 。
審査が長引くと年金額は減るの?
「審査に時間がかかると、その分もらえる年金が減るのでは?」と心配される方も多いですが、審査期間が長引いても年金額が減ることはありません。
審査期間中も、受給権が発生した日(障害認定日)の翌月分から年金は発生しています。そのため、初回支給の際に障害認定日の翌月分から遡って一括で支給される仕組みになっています。審査に時間がかかった分だけ、初回の振込額が多くなるとイメージするとわかりやすいです。
「書類の準備が複雑で、どこから手をつければいいかわからない」という方は、当事務所にご相談ください。初回相談は無料です。まずはお気軽にお問い合わせください。
精神疾患は「書類の内容」で結果が変わりやすい
うつ病・統合失調症・発達障害などの精神疾患は、身体的な障害と異なり、症状が数値や画像で客観的に示しにくいという特徴があります。
そのため、審査は診断書や病歴・就労状況等申立書の記載内容に大きく左右されます。
例えば、日常生活でどれだけ困難を抱えているか、どの程度の援助が必要かが診断書に正確に反映されていないと、実際の症状より軽く評価されてしまうことがあります。
その結果、本来であれば受給できるはずの方が不支給になるケースも少なくありません。
精神疾患で障害年金を請求する際は、受診時に日常生活の状況を主治医に詳しく伝え、診断書に漏れなく記載してもらうことが重要です。
よくある質問:障害年金についてのQ&A
Q. 障害者手帳がなくても障害年金は請求できる?
はい、障害者手帳がなくても請求できます。
障害年金の請求に必要な主な要件は以下のとおりです。
- 初診日に国民年金または厚生年金に加入していること
- 初診日から原則1年6か月が経過していること※
- 一定期間の保険料を納めていること
- 国の定める障害等級に該当していること
※傷病によっては1年6か月を待たずに請求できる場合があります。
「障害者手帳の所持」は要件に含まれていないため、手帳がなくても請求できます。
なお、障害者手帳と障害年金は別々の制度で、障害の判定基準も異なります。そのため、手帳を持っていても障害年金の等級に該当しないケースや、反対に手帳がなくても障害年金を受給できるケースがあります。
「手帳がないから請求できない」とあきらめず、まずは当事務所にご相談ください。
Q. 働いていても障害年金はもらえる?
はい、働きながら障害年金を受給できます。
政府の統計によると、64歳以下の障害年金受給者のうち43.1%が就労しています。
ただし、注意が必要なのは精神疾患・内科系疾患(がん・糖尿病・心疾患など)の場合です。これらの疾患では、「就労できている=障害が軽い」と判断され、認定に影響することがあります。
請求の際は、仕事の内容・勤務時間・職場での配慮や援助の状況を主治医に正確に伝え、診断書に反映してもらうことが重要です。
参考:年金制度基礎調査(障害年金受給者実態調査)令和元年度|e-Stat
障害年金を動画で知りたい方は、下記をご覧ください。ゆうき事務所代表社労士がわかりやすく解説しています。
まとめ
障害年金は、病気やけがで障害が残ったときに受け取れる公的年金です。老後だけでなく、20代・30代の現役世代でも請求できます。
この記事で解説した主なポイントは以下のとおりです。
- 初診日に加入していた年金制度で「基礎年金」か「厚生年金」かが決まる
- 原則20歳から64歳まで請求できる
- 障害者手帳がなくても請求できる
- 働きながら受給できるケースも多い
- 精神疾患・内科系疾患は就労状況が審査に影響することがある
- 申請から初回振り込みまでおおむね4〜5か月
- 審査が長引いても年金額は減らない
- 診断書と申立書の内容が審査結果を左右する
障害年金の請求は、準備する書類も多く、複雑な手続きが伴います。専門家のサポートを受けることで、スムーズに進めることができます。
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