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COLUMN

ADHDで障害年金がもらえない人とは?申請条件や年金額もご紹介

ADHD(注意欠如・多動症)は発達障害のひとつで、思いついたままに発言して周囲の人から反感を買ったり、注意力が散漫になりミスを繰り返すなどの特性があります。

ADHDからくる特性により、生活や仕事に支障があるときは障害年金が申請できます。

しかし、ADHDを含む精神疾患での申請は準備に手間取ることがあり、「ADHDで障害年金はもらえない」と思う人が多いです。

この記事では、ADHDで障害年金をもらえない人はどんな人なのかを中心に、申請の条件や気になる年金額もお知らせします。

ADHDで障害年金を申請したい人やそのご家族に役立つ情報が満載ですので、ぜひ最後まで読んで参考にしてください。

ADHD(注意欠如・多動症)で障害年金をもらえない人とは?

ADHDで障害年金をもらえない人とは、以下の3つの条件を満たせない人です。

障害年金を申請できる3つの条件
  1. 初診日に国民年金か厚生年金の被保険者であること(初診日要件)
  2. 初診日※1の前日時点で保険料を一定期間納付していること(保険料納付要件)
  3. 障害認定日※2もしくは現在、国が定める認定基準に該当すること(障害程度要件)

※1 初診日とは、障害の原因となった傷病で初めて医療機関で診療を受けた日のこと

※2 障害認定日とは、初診日から1年6か月を経過した日のこと

順番に見ていきましょう。

(1)初診日が証明できない人

ADHDで初めて医療機関を受診した日を証明できない人は障害年金をもらえません。

障害年金を申請するには、病気やけがで初めて医療機関に行った日に国民年金か厚生年金に加入していなければなりません。
どの年金制度に加入していたかは、年金事務所や街角の年金相談センターで記録を確認すればすぐにわかりますが、初診日を証明するのが難しいケースがあります。

ADHDを含む発達障害の場合、特有の症状のほかに不眠や抑うつなどの症状が見られることから、1回の通院でADHDと診断されることはあまりなく、「うつ病」など違う病名がつくことがあります。

うつ病の治療を始めてもなかなか良くならず、転院を繰り返したり、検査を受けたりしてようやく「ADHD」と診断されることが多いです。

MEMO

ADHDと診断されなくても、なんらかの精神症状で医療機関に初めて行った場合、その日が初診日となります。

特に転院を何度かしている場合は、カルテが残っていなかったり、閉院していたりすることがあり、どこの病院に初診の証明を依頼するのか判断できなくなることがあります。

こうなると精神症状で初めて受診した日を証明できず、たとえ障害年金を申請しても不支給となるのです。

(2)保険料納付要件が満たせない人

初診日が証明できても、保険料を一定期間納めていない人は障害年金はもらえません。

障害年金をもらうためには「年金加入期間全体の3分の2以上を納付しているか免除されている」または「直近1年間に滞納期間がない」のいずれかを満たすことが必要です。

国民年金には「追納」という制度があり、免除や猶予された期間の保険料を後から納めると老齢年金に反映されます。

一方、障害年金では初診日を過ぎてから国民年金の保険料を納めても「納付」とは認められません。

保険料納付要件を見るときは、初診日の前日時点の納付状況を見るので、国民年金の保険料は遅れずに支払うことが大切といえるでしょう。

なお、20歳前に初診日のある人は保険料納付要件は問われません。

参考:国民年金保険料の追納制度|日本年金機構

(3)障害等級にあてはまらない人

初診日を証明し、保険料納付要件を満たしても、国の定める障害等級にあてはまらない人は、障害年金はもらえません。

日本年金機構が公開している障害認定基準によると、発達障害での障害等級の目安は以下のとおりです。

障害の程度障害の状態
1級発達障害があり、社会性やコミュニケーション能力が欠如しており、かつ、著しく不適応な行動がみられるため、日常生活への適応が困難で常時援助を必要とするもの
2級発達障害があり、社会性やコミュニケーション能力が乏しく、かつ、不適応な行動がみられるため、日常生活への適応にあたって援助が必要なもの
3級発達障害があり、社会性やコミュニケーション能力が不十分で、かつ、社会行動に問題がみられるため、労働が著しい制限を受けるもの

引用:国民年金・厚生年金保険 障害認定基準|日本年金機構

障害等級は、診断書や病歴・就労状況等申立書等の書類をもとに審査され、障害厚生年金の場合は1~3級障害基礎年金では1~2級にあてはまらないときは障害年金は支給されません。

なお、精神疾患で障害等級を判定するときには、「障害認定基準」のほかに「精神の障害に係る等級判定ガイドライン」を基準として審査しています。

ADHDを含む精神疾患での障害等級の判定については、【精神疾患で障害年金を申請する方へ】等級判定ガイドラインをわかりやすく解説で詳しくご紹介しています。

障害年金の申請条件については、障害年金の3つの受給条件とは?年齢は関係ある?わかりやすく解説!で詳しくご紹介していますので、ぜひご覧ください。

参考:障害基礎年金の受給要件・請求時期・年金額|日本年金機構

参考:障害厚生年金の受給要件・請求時期・年金額|日本年金機構

ADHDで障害年金をもらうのは難しい?

結論からお伝えすると、ADHDで障害年金が認定されるのは簡単なことではありません。

ADHDを含む発達障害やうつ病などの精神疾患の場合、検査等で客観的に障害の重さを測ることができません。

そのため、どのくらい生活や仕事上で支障があり、どんなことに困っているか、周囲のサポートをどのくらい受けているかなどを書面で客観的に審査する人に訴える必要があるのです。

ふだん書類を書いていない人が、審査する人に伝わるように書類作成するのは大変な手間と労力がかかる作業となり、あまりの難しさに申請自体を諦める人もいるようです。

そのため、ADHDで障害年金をもらうのは難しいと言われています。

ADHDを含む発達障害での申請については、発達障害で障害年金をもらうのは難しい?支給額はいくら?受給例もご紹介で詳しくご紹介しています。

ADHDで働いていたら、障害年金はもらえない?

障害年金は、パートや短時間勤務、正社員の区別なく働いていても受け取れます。

ただし、障害年金の3つの受給条件を満たすことが必要です。

働いていると年金審査の際に「障害の程度が軽い」と判断される傾向があるので、診断書や病歴・就労状況等申立書でご自身の病状や生活の様子、仕事内容、周囲のサポートなどが正しく伝わるように記載することが大切です。

例えば、職場で特別な配慮を受けていたり、障害者雇用枠で働いていたりするなどがあったら、忘れずに記載しましょう。

なお、障害年金を働きながら受給するポイントについては、精神疾患でも働きながら障害年金はもらえる?受給のポイントをご紹介でわかりやすく解説していますので、ぜひご覧ください。

ADHDでもらえる障害年金の金額

障害年金は、障害により日常生活や仕事にどのくらい制限があるかにより年金額が変わります。

したがって、「ADHDだから」という理由で年金額が増減することはありません。

令和6年度の障害年金の年金額は以下のとおりです。

障害の程度障害基礎年金障害厚生年金
1級1,020,000円+子の加算額報酬比例の年金額×1.25
配偶者の加算あり
2級812,000円+子の加算額報酬比例の年金額
配偶者の加算あり
3級なし報酬比例の年金額
最低保証額612,000円
障害手当金なし報酬比例の年金額×2
支給は一度のみ

報酬比例の年金額は、年金加入期間が長く、高い給与を受けていた人は年金額が多くなります。誕生月に届く「ねんきん定期便」でおおよその年金額がわかるので、参考にしてみるといいでしょう。

障害年金の年金額の詳細は、障害年金でもらえる金額は?精神疾患だと年金額は変わる?社労士が解説!でご紹介しています。

ADHDで障害年金を申請するときに注意するポイント

障害年金は、審査のときに面談をすることはなく、すべて書面で審査します。

そのため、自分の正確な状況を審査する人に正しく伝える書類を準備することが大変重要です。

ADHDで障害年金申請に添付する書類作成で、注意したいポイントを3つご紹介します。

主治医とのコミュニケーションを積極的にとる

ADHDでの申請で注意することの一つ目は、「主治医とコミュニケーションを取る」ことです。

障害年金の審査の際、主治医の作成する診断書はとても重要視されており、診断書に自分の症状や生活・仕事上での困りごと、家族や周りの人がどんな配慮をしているかを正確に記載してもらうことが必要です。

正確な診断書を作成するために、主治医と積極的にコミュニケーションを取り、自分の状況を知ってもらいましょう。

しかし、ADHDのある人は、思いついたままを話してしまったり、話題が飛んでしまい、伝えるべきことが相手に届かなかったりすることがあります。

そんなときは、事前に自分の症状や困りごと、周囲のサポート内容などをメモしておき、診察時に主治医に手渡しましょう。

また、家族が診察に付き添う場合は、家族から主治医に伝えてもらうこともできます。

診断書の内容は必ず確認する

ADHDでの申請で注意するポイントの2つ目は、「診断書を受け取ったら、必ず記載内容を確認する」ことです。

ADHD の場合、以下の診断書(精神の障害用)を使用します。

病歴・就労状況等申立書(表面)

出典:診断書(精神の障害用)表面|日本年金機構

この診断書は、A3サイズで両面印刷されており、記載する箇所が多いことが大きな特徴です。

主治医は忙しい診察の合間に、診断書を作成するので一回で正確に書けないことがあります。

日付が抜けていたり、記載漏れがあったりすることもあって、追記をお願いすることもあるため、診断書の確認は欠かせません。

申請の際に正確な診断書を添付できれば、スムーズに審査が進むことにもつながるので、受け取った診断書が封印されている場合でも開封して記載内容を確認しましょう。

病歴・就労状況等申立書は端的にわかりやすく書く

ADHDでの申請で注意したいポイントの3つ目は、「病歴・就労状況等申立書を端的に書くこと」です。

病歴・就労状況等申立書は、基本的に申請する人が作成するA3サイズの書類で、両面に記入します。

診断書の情報を補完するために、通院歴や病歴、日常生活での困りごとを記載しますが、端的にわかりやすい病歴・就労状況等申立書に仕上げることが重要です。

しかし、自分で書くと「このときは辛かった」「経済的に苦しいから年金がほしい」など、自分の心情を記載するケースが見られます。

病歴・就労状況等申立書に辛い心情や経済的な不安を書いても、年金の審査にプラスになることはありません。

審査する人に伝わるように、わかりやすく端的にまとめて記載することが大切です。

病歴・就労状況等申立書(表面)
出典:病歴・就労状況等申立書(表面)|日本年金機構

病歴・就労状況等申立書の書き方については、病歴・就労状況等申立書は障害年金の重要書類!書き方や記入例もご紹介でわかりやすくご説明していますので、ぜひご覧ください。

なお、大人のADHDとは?特徴や向いている仕事、障害年金請求のポイントを解説でも、ADHDでの障害年金申請を解説しています。

ADHDと障害年金|ゆうき事務所の受給事例

ゆうき事務所にご依頼いただいた事例をご紹介します。

ADHDで障害基礎年金2級を受給

  • ご相談者:40代 女性
  • 認定結果:障害基礎年金2級
  • 支給額:年間約130万円+遡及分約500万円

【ご相談者様の状況】

幼少期から発達障害の傾向が見られ、就職をしても短期間での転職を繰り返しました。

ご相談時は就労移行支援事業所に通所していましたが、なかなか就職につながらず、焦りを感じているとのことでした。

【ご相談から請求までのサポート内容】

下記は、弊所の社労士がご相談者さまへヒアリングをした結果です。

  • 洗濯や掃除が苦手で部屋を片付けられない
  • 週に2回訪問介護サービスを利用している
  • 金銭管理が出来ないため、家計の管理は同居の夫にお願いしている
  • 注意力散漫で運転中に2回交通事故を起こし、その後車を売却した

日常生活は夫や訪問介護サービスによるサポートを受けて成り立っており、一人暮らしは難しいことを主治医にお知らせし、診断書に反映していただきました。

【審査の結果】

障害基礎年金2級(約130万円)+遡及分(約500万円)が認められました。

ADHDと障害年金|よくある質問

ADHDでの障害年金申請に関連して寄せられる質問に回答していきます。

ADHDで障害者手帳を持っています。障害年金はもらえますか?

障害者手帳と障害年金は別の制度で運営されているので、障害者手帳があるからといって障害年金がもらえるとは限りません。

障害者手帳は都道府県や市などの自治体で発行するもので、障害年金とは審査方法や等級も違います。

ただし、障害者手帳は障害年金の審査のときに参考になるので、所持している人は病歴・就労状況等申立書にコピーを添付しましょう。

なお、障害年金と障害者手帳については、障害年金と障害者手帳の違いとは?生活を支える制度をわかりやすく解説でご紹介しています。

ADHDで障害年金を申請したいのですが、自分でできるか不安です。

ADHDでの障害年金申請に不安を感じるときは、障害年金専門の社労士に代行を依頼できます。

ADHDは視力や聴力のように数値で障害の程度が測れないので、書類作成でつまづくことが多いです。

障害年金の申請に不安があるときは、社労士に申請代行を依頼すると書類作成だけでなく、年金事務所とのやり取りからも解放されます。

MEMO

何度も年金事務所に行くのが難しかったり、書類作成に不安があるときは、ゆうき事務所がお力添えできます。どうぞお気軽にお問い合わせください。

なお、申請代行のメリットについては、障害年金の申請を依頼するメリットは4つ!【社労士の選び方もわかりやすく解説】でご説明しています。

まとめ

ADHDで障害年金を申請できますが、認定されるのは簡単なことではありません。

ADHDは、視力や聴力のように障害の程度が数値化されないため、診断書や病歴・就労状況等申立書で自分の状況を正確に示して申請することが大変重要です。

一方で、主治医とうまくコミュニケーションが取れなかったり、病歴・就労状況等申立書の記載が難しく申請自体を諦めてしまったりするケースも見られます。

障害年金の申請は社労士に依頼することもできるので、自分や家族で申請するのに不安があるときは代行を検討してみましょう。