更新日:2025.09.15
障害年金の手続きの流れを徹底解説!申請から受給までの7ステップ

障害年金を申請したいけれど、「どんな手順で進めればいいのか分からない」と感じていませんか?
障害年金は生活を支える大切な制度ですが、初診日の特定や診断書の準備など、複雑な手続きが必要です。
本記事では、障害年金の手続きを 7ステップに分けてわかりやすく解説 します。
流れを理解することで、申請の不備を防ぎ、スムーズに準備を進められるようになるのでぜひ参考にしてください。
目次
障害年金の手続きの流れはどう進む?全体の流れを解説
障害年金の申請は、大きく分けて以下の7つのステップで進めます。
順番に各項目をみていきましょう。
障害年金の手続きの流れ(1)初診日の確認と注意点
障害年金の申請で最初に行うのは「初診日の確認」です。
療養期間が長かったり、転院を繰り返した場合、初診日を思い出せないことも少なくありません。
そんなときは、日記や手帳、家計簿、家族の記憶などを参考に、初診の医療機関と時期を「〇年△月頃」といった形で思い出しておきましょう。
初診日とは?よくある誤解に注意
初診日についてよくある間違いは、病名が確定した医療機関を初診と勘違いすることです。
また、整骨院や鍼灸院などの受診は医師の診療ではないため、初診日になりません。また、原則として健康診断を受けた日も初診日とは認められないので注意しましょう。
初診日を正確に特定することが、障害年金の手続きの流れをスムーズに進めるポイントです。
障害年金の初診日の具体例についてはこちらで詳しく解説しています。
▶ 障害年金の初診日とは?カルテがないときの対処法もご紹介!
参考:障害年金の初診日を明らかにすることができる書類を添えることができない場合の取扱いについて|厚生労働省
参考:障害年金講座|日本年金機構
障害年金の手続きの流れ(2)保険料納付状況の確認
初診日が大まかに分かったら、次に行うのは保険料納付状況の確認です。
障害年金を受け取るには、保険料の納付状況が一定の条件を満たしている必要があります。そのため、年金加入期間のすべての記録を確認することが大切です。
注意点として、誕生月に届く「ねんきん定期便」では、直近の納付状況しかわかりません。
障害年金の要件を満たしているかを判断するには十分ではないため、年金事務所や街角の年金相談センターで納付記録を取り寄せることをおすすめします。
年金事務所に行く際に必要なもの
年金事務所へ行くときには以下のものを持って行きましょう。
- 年金手帳など基礎年金番号がわかるもの
- マイナンバーカード
- 障害者手帳(お持ちの場合)
- 身分証明書
- 委任状(代理人が手続きを行う場合)
代理人が手続きを行う場合は、必ず委任状を提出してください。
委任状のフォーマットは、日本年金機構の公式サイトからダウンロードできます。
▶年金相談や手続きを代理人に委任するとき|日本年金機構
保険料納付要件を確認する手順
以下の順番で、保険料納付要件を満たしているかを確認しましょう。
- 直近1年間の納付状況を確認
初診日の前日までに、未納や滞納がないかをチェックします。 - 滞納がある場合の確認
20歳から初診日の2か月前までの期間で、納付や免除が3分の2以上あるかを確認します。
※いずれの場合も、初診日以降に保険料を納めても「納付」とみなされません。
また、20歳未満で初診があった場合や、先天的な知的障害など生まれつきの障害がある方は、保険料納付要件は問われません。
障害年金の受給条件については、さらに詳しく解説した記事障害年金の3つの受給条件とは?年齢は関係ある?わかりやすく解説!も参考にしてください。
参考:障害基礎年金の受給要件・請求時期・年金額|日本年金機構
参考:障害厚生年金の受給要件・請求時期・年金額|日本年金機構
障害年金の手続きの流れ(3)初診日が証明できる書類を準備
初診日がわかったら、次はその日付を証明する書類を用意します。障害年金の申請では、「受診状況等証明書」がその役割を担います。
受診状況等証明書とは?
受診状況等証明書は、初めて受診した医療機関に作成を依頼する書類です。初診日を正式に証明するために必要で、申請時には欠かせません。作成費用はおおよそ3,000〜5,000円程度です。
受診状況等証明書が取得できない場合
初診の医療機関が閉院していたり、カルテの保存期間を過ぎている場合は受診状況等証明書が取得できません。
その場合は、次の手順で対応します。
- 転院先の医療機関に問い合わせ
初診の病院に証明書がない場合は、通院した2番目以降の医療機関に順に連絡します。 - 診療記録が残っている医療機関で作成
診療記録が確認できる医療機関で、受診状況等証明書の作成を依頼します。
この手順に沿って「受診状況等証明書」を準備しましょう。

障害年金の手続きの流れ(4)診断書の依頼
初診日の証明ができる書類が準備できたら、主治医に診断書を依頼しましょう。
障害年金の請求時期により、用意する診断書の枚数や有効期限は以下のように変わります。
必ず年金事務所等で、有効期限等をしっかり確認しておきましょう。
請求の時期 | 必要な診断書 |
---|---|
障害認定日※1から1年以内 (障害認定日請求) | 障害認定日より3か月以内の現症のもの:1枚 |
障害認定日から1年以上経過して請求 (遡及請求) | 障害認定日より3か月以内のもの:1枚年金請求日から3か月以内の現症のもの:1枚 |
事後重症請求※2 | 年金請求日から3か月以内のもの:1枚 |
※1 障害認定日とは、初診日から1年6か月経過した日のこと
※2 事後重症請求とは、障害認定日には症状が軽く、その後障害状態に該当するようになったときに障害年金を請求すること
診断書を依頼するときの注意点
診断書は、障害年金の申請において最も重要な書類のひとつです。記載内容によって、障害年金が認定されるかどうか、また等級が決まるため、慎重に進める必要があります。
診断書を依頼するときは、次の点に気をつけましょう。
- ふだんの困りごとをメモして主治医に渡す
診察の場では伝えきれないこともあるので、日常生活や仕事で困っていることをあらかじめメモにして渡すと、診断書に反映されやすくなります。 - 診断書の内容を確認する
出来上がった診断書は必ず目を通し、記載内容が自分の生活の実態と合っているか確認しましょう。 - 記入漏れや誤りがあれば修正を依頼する
日付などの間違いや記入漏れがある場合は、そのままにせず、主治医に加筆・訂正をお願いします。
診断書にあなたの生活の困難さが正しく記載されることが、スムーズな障害年金審査につながります。
診断書については、障害年金の審査は診断書で決まる?知っておきたい注意点と社労士のサポートで詳しく解説しています。
本文中に出てきた「遡及請求」と「事後重症請求」については、こちらで解説しているのでぜひご覧ください。
▶ 障害年金の事後重症請求とは?いつからもらえる?年金額や必要書類、申請の流れもご紹介
▶ 【最大5年分まとめて支給】障害年金の遡及請求は難しい?必要書類や受給事例もご紹介
障害年金の手続きの流れ(5)病歴・就労状況等申立書を作成
主治医に診断書を依頼したら、「病歴・就労状況等申立書」を作成しましょう。
「病歴・就労状況等申立書」とは、基本的に障害年金を申請する人が作成する書類で、発病から現在までの通院歴や病歴、日常生活の困りごとや仕事内容、周囲からのサポートなどを記載します。
病歴・就労状況等申立書には、年金の審査をする人に自分の生活や困りごとを知ってもらう役割があります。
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病歴・就労状況等申立書の書き方の詳細は、病歴・就労状況等申立書は障害年金の重要書類!書き方や記入例もご紹介でわかりやすく解説していますのでぜひご一読ください。
障害年金の手続きの流れ(6)請求書とその他の必要書類を準備
受診状況等証明書や診断書、病歴・就労状況等申立書が用意できたら、それ以外に必要となる書類を準備しましょう。
障害年金を請求する人が必ず用意する書類は以下のとおりです。
- 年金請求書
- 年金手帳や基礎年金番号通知書など
- 戸籍謄本、戸籍抄本、戸籍の記載事項証明、住民票、住民票の記載事項証明書のいずれか
- 診断書
- 受診状況等証明書
- 病歴・就労状況等申立書
- 障害年金を受け取る金融機関の通帳やキャッシュカード
戸籍謄本など有効期限が決まっているものがあるため、いつ取得するかのタイミングを確認しておきましょう。
このほかにも、病歴や通院歴、家族構成により追加で準備する書類もあります。
障害年金の必要書類の詳細は、障害年金の必要書類一覧!ケース別でわかりやすくご紹介で解説していますのでご覧ください。
障害年金の手続きの流れ(7)年金事務所等へ提出
障害年金の請求書と必要書類が揃ったら、年金事務所等に提出しましょう。
年金請求書等の提出先は、初診日に加入していた年金制度により次のようになります。
初診日に加入していた年金制度 | 提出先 |
---|---|
国民年金 | ・お住まいの市区町村役所 ※初診日に国民年金第3号被保険者だった人は、年金事務所または街角の年金相談センター |
厚生年金 | ・年金事務所・街角の年金相談センター |
共済年金 | ・初診日に加入していた共済組合 |
なお、審査の際に日本年金機構から申請内容の問い合わせが来ることもあるので、提出前に書類をコピーしておきましょう。
障害年金の手続きをスムーズに進めるためのポイント
障害年金の申請を滞りなく進めるには、いくつかの準備や工夫が重要です。主に以下の点に注意すると、手続きを効率よく進められます。
それぞれの内容を詳しく見ていきましょう。
通院歴や病歴を整理する
初診日の確認は障害年金の申請で最も重要なポイントの一つです。
そのため、これまでの通院歴や病歴を事前にまとめ、時系列で整理しておくことが大切です。
療養期間が長い場合、本人が考えていた医療機関ではなく、別の病院が初診扱いとなることもあります。
正確な情報を早く見つけるために、通院歴や病歴を一覧にして把握しておきましょう。
初診がわかる参考書類を探す
障害年金の申請では、初診日を証明できる書類をそろえることが手続きを円滑に進めるポイントです。
もし初診の医療機関や転院先で「受診状況等証明書」が取得できない場合には、「受診状況等証明書が添付できない申立書」を作成する必要があります。
ただし、この申立書だけでは初診日が認められないため、証明や推測が可能な資料を添付することが求められます。
参考として添付できる書類は次のようなものがあります。
- 身体障害者手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳
- 身体障害者手帳等の申請時の診断書
- 生命保険・損害保険・労災保険の給付申請時の申立書
- 事業所等の健康診断の記録
- 母子手帳
- 健康保険の給付記録(レセプトも含む)
- お薬手帳・糖尿病手帳・領収書・診察券(可能な限り診察日や診療科がわかるもの)
- 小学校・中学校等の健康診断の記録や成績通知表
- 盲学校・ろう学校の在学証明・卒業証明
- 第三者証明
申請準備を開始する前に、手元に必要な書類がそろっているかを確認しておくと、受診状況等証明書が取得できない場合にもスムーズに対応できます。
年金事務所等とのやり取りを記録する
年金事務所や相談窓口とのやり取りを記録しておくことも、申請をスムーズに進める上で重要です。
障害年金の申請には、準備から手続き完了まで最短で3か月、場合によっては1年ほどかかることがあります。
やり取りを記録しておかないと、以前に受けた指示やアドバイスを忘れて再確認する必要が生じ、作業効率が落ちてしまいます。
記録があれば、疑問が生じたときも過去の情報を確認するだけで解決でき、無駄な問い合わせを減らせ、結果として書類作成や準備作業を滞りなく進められるのです。
記録を活用して手続きのタイムロスを減らし、障害年金申請をスムーズに進めましょう。
障害年金の申請手続き|よくある質問
障害年金の申請手続きについて寄せられる質問に回答していきます。
Q1.障害年金はいつからもらえますか?
障害年金の申請を行い、審査が完了するまでにはおおよそ3か月程度かかります。
支給が決定すると「年金証書」と「決定通知書」が郵送されます。その後、実際に年金が振り込まれるまでにさらに1か月ほどかかるのが一般的です。
申請から支給開始までの期間は、スムーズに進めば最短で4か月ほどですが、書類準備や手続きに時間がかかる場合は、1年近くかかるケースもあります。
Q2. 障害年金の申請は、どこで相談できますか?
障害年金の手続きについて相談できる窓口はいくつかあります。主なものは以下の通りです。
サポート機関 | 内容や特徴など |
---|---|
市区町村役所 | ・障害基礎年金のみ相談ができる |
年金事務所 | ・相談のほか、申請方法や書類準備のアドバイスも受けられる |
街角の年金相談センター | ・年金事務所とほぼ同じサービスを提供 |
社会保険労務士 | ・相談だけではなく、申請代行も依頼できる |
大きな医療機関ではソーシャルワーカーが年金の相談を受けるほか、通所されている方の障害年金申請をサポートする就労移行支援事業所もあります。
さらに詳しい相談窓口や活用方法については、障害年金はどこで相談できる?悩みを解決する6つの窓口と利用法ガイドでわかりやすく紹介しています。
社会保険労務士への申請代行は、詳しく解説した記事障害年金の申請を依頼するメリットは4つ!【社労士の選び方もわかりやすく解説】をご覧ください。
まとめ
障害年金の申請では、まず「初診日の確認」、次に「保険料納付状況の確認」、さらに「診断書や申立書の作成」といったいくつかのステップを順に進める必要があります。
これらの手順を理解しておくことで、書類の不備や申請の遅れを防ぎ、手続きをスムーズに進められます。
ただし、障害年金の制度は複雑な部分があり、初診日がはっきりしない場合や診断書の内容でつまずく方も少なくありません。
こうした場合は、障害年金の手続きに精通した社会保険労務士に相談することで、安心して申請を進めることができます。
ゆうき事務所では、精神疾患に関する障害年金の申請サポートを数多く手掛け、丁寧なヒアリングを通して、個々の状況に合わせた最適なサポートを提供しています。
「自分や家族だけで申請するのは不安」「年金事務所に行く時間がない」といった方も、どうぞお気軽にご相談ください。